巨人だけじゃない? 野球賭博の「深すぎる闇」の画像
巨人だけじゃない? 野球賭博の「深すぎる闇」の画像

今年の日本一が決まる前に勃発した球界を揺るがす大問題。収束どころか、大爆発の気配すら漂いだした!

CSファーストステージ直前の10月5日に、突如勃発した野球賭博問題。15日発売の週刊文春では、かねてから夕刊紙などで名前を伏せた形で噂が報じられていた中日OBで野球評論家である立浪和義氏の実名も飛び出し(本人は一切の関与を否定)、事態は収まるどころか、過熱する一方である。

だが、球界関係者は、
「今、表沙汰になっているのは、氷山の一角でしょうね……」(球界関係者)
とつぶやく。その言葉を裏づけるように、本誌の取材でも驚くべき証言の数々が、ゾロゾロ飛び出しているのだ。どこまでも深い、野球賭博の闇とは――。

今回の件が発覚したのは9月30日、税理士法人勤務を名乗るA氏が、野球賭博の賭け金百数十万円を回収すべく、ジャイアンツ球場(神奈川県川崎市)に福田聡志投手(現在、謹慎中)を訪問。その際、対応した球団職員に訪問理由を告げたことからだった。
「それで驚いた球団側が、福田投手に事情聴取したところ、彼がA氏を知ったのは、後輩の笠原将生投手からの紹介だったことが判明しました(笠原投手は野球賭博は否定も、同じく謹慎)。ですが、A氏は文春の取材に、"9月30日に福田とジャイアンツ球場で会う約束になっていた。僕が福田にハメめられた"と答えており、情報は錯綜しています」(スポーツ紙記者)

福田投手は、今年8月の夏の高校野球で、初めて野球賭博に手を染めたといわれる。さらにその後、日本プロ野球と大リーグの試合にも、それぞれ10回ほど手を出した。おまけに、自らが在籍する巨人戦でも3~4回賭けていたことも判明したのだ。

だが、それにしても、対象が何であれ賭博行為は刑法に抵触しうるし(常習の場合、最高懲役3年)、バレれば野球界追放は必至。それにもかかわらず、なぜ福田投手はハマったのか?

ある野球賭博の胴元は、その理由をこう打ち明ける。
「まず、球屋(プロ野球選手のこと)の中には野球しかできない、一般常識を知らない者が少なくない。福田もその典型でしょう。もう一つは、博打の中でも野球は極めて魅力的だから」
野球賭博においては、シーズン中の試合当日、メールやLINEで「ハンデ」なるものが参加者に送られて来るという。賭け金は1口1万円から。
「たとえば、巨人対阪神戦でハンデは"巨人2半"、そして巨人が勝つほうに10万円賭けたとしよう。これだと、たとえ巨人が勝っても1か2点差なら客は負けで賭け金全額没収。しかし3点差だったら、3-2半=半で、賭け金10万円の半分5万円、4点以上なら客は賭け金と同額の10万円の儲けとなる」(前同)

ただし、胴元は1割の手数料を取るから、実際の儲けは巨人の3点差勝ちで4万5000円、4点以上で9万円になるとされる。
「他の競馬や競輪、ボートレースなどは、ほとんど予想しようがなく山を張るだけということもあるのに対し、野球賭博の場合、先発投手を読むなどすれば、けっこうな確率で勝敗予測が可能で、ハンデがあるにせよ、賭け金が倍になるのは魅力的なんです。まして球屋は、その道のプロなんだから、なおさら当たる確率が高い」(同)

だが、当然ながら、そんなウマい話ばかりではなく、
「現実は当日最低3試合賭けないといけないし、"週1回の精算だから"と、1日目負けると、それを取り返そうとさらに張り、それも負けるとさらにと、何十試合も賭けて1週間で巨額借金になりうる。だから、全然甘くはない」(同)
というのだ。

球団による事情聴取の過程で、福田投手に、こうした「ハンデ」を記したメールが送られていたことが確認されている。そして福田投手の場合、あえて深みにハメられたのでは、との見方もある。
「A氏は実力差が大きく、予想しやすい高校野球から福田に賭けさせている。それでも福田は負けが込み、しかしA氏は週1回の精算をしなかった。これは特別待遇ではないか、と」(同)

なぜか?
野球賭博の市場は、"最後の総会屋"といわれた小川薫氏(故人)が一人で30数億円負けたこともあるといわれ、全容は数千億円規模との話も。手数料を1割取るから開帳側はまず損をしないとはいえ、そんな巨額が動く場所でより儲けるためには、正確かつ絶妙にハンデをつけることが極めて重要になる。
「そのためには各球団に内通者を作っておく必要があり、中でも人気の巨人はなおさら。福田の特別待遇は、そうしたことへの狙いからでは」(同)
と言う。だが、それにしてもなぜ、A氏は表沙汰になるような取り立てを行ったのか?

「文春でAが"福田にハメられた"と答えていた一方で、Aの背後に、ある反社会勢力の名が挙がっています。ところが最近、その団体になんらかの動きがあり、Aも早急な回収を迫られる状況になり、内通者作りどころではなくなったとの情報があります」(夕刊紙記者)

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