競馬場に馴染みの顔が帰ってきました。しかも、3人いっぺんに。ひとりは、昨年12月19日の阪神第3Rで右足首を負傷した競馬学校7期生の四位洋文。2人目は昨年8月29日の小倉12Rで落馬。右大腿骨を骨折した20期生の藤岡佑介。3人目は昨年10月31日の京都のメインレースで、右肩鎖関節脱臼、右肩の靭帯断裂などで戦列を離れていた12期生の福永祐一。いつもいる顔がそこにあるというだけで、明るい気持ちになったのは僕だけじゃないと思います。

――競馬に落馬事故はつきもの。もしかしたらというのは、いつも頭の片隅にあるんですか?

 答えはノーです。勝つための想定は何通りも繰り返しますが、落ちることは想像のらち外です。気性が馬一倍激しく、デビューしたての幼稚園レベルの2歳馬に乗るときには、細心の注意をはらいます。でも、そんな場合でも、どうすればうまく抑えて、勝たせてあげられるかが最重要ポイントで。落ちたときのことを考えたことはありません。

――復帰戦はやっぱり怖いものですか?

 これもノーですね。頭の中は、また馬に乗れることへのうれしさでいっぱい。休んでいたことで実戦感覚は鈍っていないか? 瞬時の判断はできるのか? 求められる結果を出せるか!? そういった不安はありますが、騎乗すること、レースに出ることへの恐怖はありません。

 藤岡佑介騎手と四位洋文騎手は復帰戦でいきなり白星を挙げ、福永祐一騎手も、2日目に復活。僕も経験がありますが、レースに出て、スタンドのファンの方から、「お帰り」と声をかけていただくことで、「自分がいる場所はここだ!」と再確認できたはずです。レースではライバル。でも、馬を降りればみんなJRA所属の騎手仲間。ハグはしませんが(笑)、気持ちは“おかえり”です。

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