一方で、20位に入った古事記と日本書紀の「記紀」は、どうだろうか。古事記は618年に、日本書紀は720年に完成した日本の歴史書。前者が天皇家の正当性などを国内に示す目的で、後者は東アジアに日本の正当性を示す目的で、当時の日本政府が編纂したものだ。

「天照大神やヤマタノオロチ、因幡の白兎、八咫烏(やたがらす)など、現在の生活にも密接する話が多く含まれますが、神話をどう扱うかが焦点になるでしょう。しかし、写本がしっかりと現在まで残され、国宝にも指定されている点は、卑弥呼や聖徳太子とは明らかに違います」(同) <1300年前に研究された日本の成り立ちを知りたい>(38・男性)と言う意見には賛同の声も多そうだ。

 改めて結果を見てみると、上位20位までに、戦国モノが半分近くも入っている一方で、他の分野にも多くの人が興味を持っているのが分かるし、女性が1人しかいない(卑弥呼)のもまた、事実なのだ。そして、地味だったり、知名度の低い人物への待望論が強いのも事実。初代総理大臣とはいえ、「ドラマ向きではない」(番組制作会社社員)という伊藤博文や、戦国時代にあって戦ベタで主に官僚として活躍し、最後は関ヶ原の合戦で大敗した石田三成、さらに、「最大のヤマ場が『学問のすゝめ』を著しただけでは弱い」(前同)という福沢諭吉が、それぞれ6位、7位、9位に入り込んでいるのには、意外に思われる方も多いだろう。

 ちなみに、19位にランクインした徳川四天王だが、その一人、井伊直政の養母にして女武将だった井伊直虎は、『おんな城主 直虎』として2017年の大河に決定。その人生には、直政をはじめ徳川家康や四天王も深く関わっており、期待が高まる作品だ。

 最後に、「存命中の人物は大河ドラマの対象にならない」(テレビ誌記者)と言うが、アンケートの結果、多くの票を集めた番外編も掲載しよう。長嶋茂雄と王貞治のONコンビの人気はやはり根強いし、名将との声が日に日に高まっているJ1ベガルタ仙台の元監督で、リオ五輪での活躍が期待される手倉森誠U-23監督、さらに、最近のニュースで見ない日のないトランプなど、情勢や時事に関わる人物ばかり。NHK大河ドラマとは、単なる歴史物語ではなく、力強く生きる人間の激闘譜なのだ。

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