また、気をつけたいのが、“オヤジ思考”だ。「堀江貴文さんの著書の中に、“オヤジとは思考停止した人間のこと”という内容があります。時代が移り変わっているのに、自分の常識に固執し、頭ごなしに決めつけるタイプの人がそう。若者と触れ合い、新たな意見を取り入れようとする柔軟性が大切」(山名氏)

 そんな柔軟性をまさに発揮しているのが、お茶の間でも人気の漫画家・蛭子能収氏。周りに愛されている理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。「自分の主張はしないことです。テレビならディレクター、プロデューサーの言うことを聞く。映画は映画監督の言うことを聞く。これですね、アハハ」 なんとも蛭子さんらしいコメントだが、加えて、そのニコニコとした表情も嫌われないポイントだろう。「無表情な中高年の方って多いんですが、気難しいと思われ、敬遠されてしまいます。実は自分が思う以上に顔の表情は変わっていないもの。意識的に顔の筋肉を動かし、喜怒哀楽を表しましょう」(山名氏)

 さて、会話の仕方や内容も、好かれるか嫌われるかの大きな分かれ目。化繊メーカーOLのY恵さん(26)は、「40代上司からお昼を誘われるが、一緒に行きたくない」と言う。「お店に行くと常連でもないのに“おう、兄ちゃん、水っ”って感じで。いくら店員が若くても他人なんだし“お水お願いします”って普通に言えばいいのに」 店員だけでなく、周りのヒンシュクも買うので、店の従業員に横柄な態度を取るのはご法度だ。ふだんの世間話も、人を不快にさせている場合が。

「俺らバブル時代の入社組は、採用前にハワイに連れて行ってもらったんだよ」と、ここまではまだ許容範囲だが、問題はその後。「お前ら、大変だよな。せこせこ模擬面接とかやってたんだろ?」などと、小馬鹿にするのは論外だ。現在24歳で、ゆとり世代ど真ん中の営業OL、K奈さんは「“お前ら、ゆとり世代だから円周率3だったんだろ?”という話を何度聞いたことか」と憤る。悪気はなくても、若い世代を一まとめにして批評するのは避けるべき。また、「オレが若い頃は、一日30軒以上も飛び込み営業をさせられた」などと話し、そのあと「お前も、そのくらい根性入れてやってみろよ」と、昔話を説教に結びつける会話もNGだ。

「役職が上がると、褒められる機会が減る分、承認欲求が満たされず、つい自分から自慢話をしたくなるんです。そんな際は、武勇伝を披露した後、感謝の言葉で締めくくるのがコツ。“それも皆のおかげ”“誰々が支えてくれたから”などの言葉を添えれば、尊敬される上司に」(山名氏)

 ちなみに、後輩や女性陣に対しては、「ヘンに気を遣わず自分が一番面白いと思うことを子どものような無邪気さで話す。楽しそうに話す少年のような人は好感を持たれます」(前同) この典型がタモリで、「夜の街ではタモリさんの評判って、すごくいいんです。自分の知識をひけらかすでもなく、趣味の地理や地層の話を心底楽しそうに話すので周りはつい引き込まれるみたい」(芸能記者)

 その様子が如実に現れたのが『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)での女子大生との合コン企画だ。「ある女性が“長野県松本市出身”と語るや、すかさず“井戸の街ですね~”と井戸に関する豆知識を披露。女性陣全員に対してこんな調子で、合コンは終始大盛り上がりでした」(前同)

  1. 1
  2. 2
  3. 3