過去には、芸能人が被害者となった誘拐事件も存在する。昭和30年7月15日、人気芸人のトニー谷の長男が、下校途中に誘拐される事件が起きた。翌16日午後、犯人から身代金200万円を要求する脅迫状が速達で届くと、大ニュースに。

「当時のトニー谷は、“さいざんす”“おこんばんは”“バッカじゃなかろか”など独特のしゃべりで爆発的な人気を博し、のちに、赤塚不二夫が人気キャラクター・イヤミのモデルにしたほどです。そんなトニーが、記者会見では芸人としてのキャラクターをかなぐり捨て、ただただ苦悩と悲しみにくれる一人の父親の姿を見せ、号泣しながら長男を返せと犯人に呼びかけました」(芸能評論家)

 7月21日の身代金受け渡しに向かったのは、トニーに変装した捜査員。「トニー谷か」と声をかけてきた男が見せてくる、長男のランドセルや筆箱を確認し、共犯者がいないことに確信を得て、逮捕。犯人の自宅に、犯人の子供と一緒にいた長男を無事保護した。「犯行の動機について、犯人が“トニー谷の人を小バカにした芸風に腹が立った”と語ったことから、トニーに批判が集まり、コメディアンとしての人気が急落してしまったのは、本当に気の毒でした」(前同)

 また、俳優・津川雅彦と女優・朝丘雪路の長女で、現在は女優として活躍中の真由子さん(42)も、生後5か月のときに誘拐被害にあっている。昭和49年8月15日、世田谷区の津川宅から、真由子さんが誘拐され、身代金500万円が要求されるという事件が発生した。「犯人は当初、佐川満男・伊東ゆかり夫妻の長女を誘拐する予定だったと言いますが、住所が分からず、週刊誌などの情報を基に、津川宅を特定し、犯行に及んだとのことでした。身代金の受け渡しには当時、普及したばかりの銀行のATM機が使用されたことでも話題になり、世間の注目を集めました」(同)

 犯人は、振り込まれた身代金を引き出しに来たところを逮捕。真由子さんは、犯人の自宅である千葉県我孫子市のアパートで、41時間ぶりに発見され、保護された。芸能人ではなくとも、最近は、フェイスブックやツイッター、ブログなどで、幸せな家庭の様子をアップしている人は多い。誰が、どう見ているかということに、もう少し配慮があってもいい気がするが、いかがだろうか?

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