「『国民年金基金』への加入です。テレビCMも放送されていますが、国民年金のことと誤解し、“自分はもう加入している”と思い込んでいる方もいます。しかし、こちらは任意の別モノで、第1号被保険者の“2階”にあたるもの。掛け金がまるまる所得から控除できる税金面の優遇措置もあり、民間の個人年金に比べて非常にお得です」 コレ、たとえば40歳から始めても(毎月2万4810円の掛け金。20年間)、65歳から国民年金の毎月約6万円に加えて3万円と、受給額が約1.5倍に‼

 光嶋氏は、あわせて「確定拠出年金」(個人型)もプッシュする。ある程度の利回りが期待できるのだ。「『国民年金基金』が約束した給付額を確実に受け取れるのに対し、こちらは元本割れすることもありますが、これは公的役割を担っていますので、ハイリスクのみの投資にはならず、高いリターンも十分ありえます」(前同)

 一方、前出の伊藤氏は、前出のAさんのような個人事業主の場合、年金と同時に「経営セーフティー共済」への加入も検討すべきだと言う。これも税制上、掛け金が所得から控除されるからだ。「掛け金は5000円からOK。取引先が倒産した場合も積み立てた額の最大10倍もの借入ができ、無利子・無担保。解約時には、掛け金全額が戻ってくるなどメリット大です」(伊藤氏)

 さて、お次は会社員。メーカー勤務のBさん(45・既婚男性)の平均月収(ボーナス含む)は約30万円。よって、Bさんは65歳になると月16万7000円の年金を受給できる(3号被保険者である妻の国民年金分も含む)。これは前出・Aさんの月5万8000円に比べれば恵まれていると見えるかもしれないが、さにあらず。

 年金やら保険料やらを強制的に天引きされる会社員は、貯金もしづらい。子どもの教育資金、親の介護などで精いっぱい。自分の老後資金は後回しになりがちだ。カツカツで、どうにも老後生活をヨーイドンできそうもない……という人もいるだろう。伊藤氏は、その一案として、年金受給を先延ばしする方法を勧める。「年金受給のスタートを1か月、繰り下げすると、0.7%増額。5年繰り下げし、70歳からもらうとすれば、月の受給額は実に42%も増えます」

 再雇用の機会などがあり、健康であれば、十分検討する余地があるだろう。一方、一発逆転(!?)のミラクルを狙うなら、この秋に、すべてを賭けるべし。「今年10月以降、夫が会社員のパート主婦は、月収が8万8000円(年収約106万円)以上となると、妻も厚生年金の支払いが必要になる。現状では年収130万円以上だったものの、大幅に制限が変わります。これを機に、妻が第2号被保険者となれば、加入期間にもよりますが、かなりの増額が見込めます」(前出の厚労省担当記者)

 もし嫁が一念発起してくれたら、万事安泰……と言いたいが、離婚問題に詳しい弁護士は、こう警鐘を鳴らすのだ。「昨今、年金目当てに、夫の定年を待って離婚するケースが増えています。そして、離婚が認められれば、年金が分割され、その場合、妻に50%の権利が行くのが一般的です」 すると、月16万円強のBさんの年金額は8万円余りに……。一挙に、地獄の“老後破産”へ!? まずは嫁の機嫌を取れ、ってかあ!?

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