陛下が記者会見や式典などで述べられる“お言葉”。「そのほとんどが、陛下ご自身でお考えになっています。それだけに、一つ一つのお言葉には陛下の気持ちが込められ、重みがあります。どのお言葉も心によく残っていますが、私が感動したのは、今年1月、フィリピンを訪問されたときのお言葉でした」(皇室ジャーナリスト)

 フィリピン大統領主催の晩餐会で、陛下は大統領にこう述べられた。<貴国の国内において日米両国間で熾烈な戦闘が行われ、このことにより貴国の多くの人が命を失い、傷つきました。このことは、私ども日本人が決して忘れてはならないことであり、この度の訪問においても、私どもはこのことを深く心に置き、旅の日々を過ごすつもりでいます> 戦後70年間、平和を強く望まれてきた陛下ならではのお言葉だ。「日本が加害者として苦しめた人々のことを忘れていないことが分かり、深い感銘を受けました」(前同)

 フィリピン国民にも感動を与えた陛下のお言葉は、あの“フィフティーン”にも届いていたようだ。昨年のラグビーW杯で“世紀の番狂わせ”を起こした日本代表に陛下は、こんなメッセージを送ったという。<日本チームの勝利に、(イギリスの)チャールズ皇太子からお祝いのメッセージをいただきました。皆さんの奮闘は日本だけではなく、世界からも注目されているのです> このお言葉に奮起しない者はいないだろう。「昨年の終戦記念日、陛下は戦没者追悼式で黙祷とお言葉読み上げの順番を間違えられたことが話題になりましたが、そのようなことが、国民一人一人に思いを伝えたいという気持ちが強い陛下だけに、公務を全うできないとお思いになったのかもしれません。このまま天皇として公務を続けることは、即位以来、一貫して守ってこられた思いに反することになると……」(宮内庁担当記者)

 だからこそ、生前退位を強く望んでおられるのではないかという。しかし、江戸時代以前に生前退位は可能だったが、明治に制定された旧皇室典範では認められなくなった。戦後の皇室典範でも、譲位は認められていない。陛下が皇太子殿下に譲位するには、一般の法律と同じく、国会で皇室典範の改正が必要になる。「難しい問題もありますが、陛下のお気持ちを汲めば、2~3年後には実現できるのではないかと思っています」(皇室ジャーナリスト)

 象徴天皇として国民と苦楽を共にする――陛下のその思いは、“永田町”に届くのだろうか。

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