同じことは阪神にも言えると、黒江氏は話す。「金本監督がカリカリしすぎ。選手のミスに対して直接怒りを露わにするシーンが多いですが、それは本来、コーチの仕事です。選手に対する不満を監督が直接口にするのは、チームに決していい影響を与えません」

 前出の7月18日の巨人戦。同点で迎えた9回無死一塁で、坂本のゴロを捕球したショート鳥谷が二塁にトスしたが、代走鈴木の足がわずかに先行し、セーフとなったことが要因となって、巨人に決勝点を与えてしまうシーンがあった。「監督は“注意したんだけどね、本人には。出たわね”と鳥谷だけが悪いようなコメントを出しましたが、あれは鈴木の足も速かったわけで、直接ならともかく、メディアに言うようなことではない。余裕のなさが目につきます」(黒江氏)

 今年の阪神の不調の最大要因は、とにかく“打てない”こと。チーム打率.240は、セ全6チームで最下位だし、本塁打47本も、長打率.330も、もちろん最下位。それでいて、三振の数だけはリーグ1位というのだから情けない。「“超変革”を旗印に積極的に若手を起用してきましたが、結果が出ないとすぐにオーダーを入れ替え、また次の試合で入れ替え。辛抱が足りません。こんなに頻繁に変えていては、打線の連携が取れるわけがないですよ」(前出の民放記者)

 気を吐いていた西岡剛も、7月20日の試合でアキレス腱断裂の大ケガを負い、今季絶望となったのは大打撃だ。また、エース藤浪晋太郎が不調に陥っているのも気になるところ。「明らかに今季の藤浪は壁にぶつかっていますが、開幕前に自己流の調整を認めて甘やかしたのは、金本監督。責任の一端は監督にあります」(江本氏)

 また、前出の鳥谷に関しては、絶不調にもかかわらずスタメンで使い続けていることに疑問の声も出ている。「鳥谷は現在、665試合の連続フルイニング出場記録を更新中。金本監督も現役時代に1492試合という記録を打ち立てましたし、その思いも分かるでしょう。しかし、鳥谷も35歳。打率・227、得意の守備でもミスが目立ち、明らかに調子が上がらない選手を使い続けるのは“私情”と言われても仕方ないですよ」(在阪スポーツ紙記者)

 藤浪同様、アニキの情けが、チームだけでなく選手をも窮地に陥れてしまっているとしたら皮肉だ。「阪神は今のままじゃ苦しい。このまま最下位に沈む可能性も十分にありますね。リーグの行方は、広島の1位は揺るがないでしょう。巨人とDeNAが最後まで2位を争っていくんじゃないかと思います」(江本氏) はっきりしつつある、新人監督3人の明暗。経験を重ね、“名監督3人衆”と呼ばれる日が来ることを期待したいが、そんな悠長なことは許されないのがプロ野球の世界である……。

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