絶対的エースの存在と言うよりも、総合的な投手力と打力で連続出場を決めた秀岳館(熊本)、東邦(愛知)、いなべ総合学園(三重)の3校にも注目したい。センバツ4強の秀岳館は、エースの有村大誠投手を中心に、140キロ台を投げる選手が4人もいる豊富な投手陣に加え、「捕手の九鬼隆平選手を中心とした切れ目のない打線は、チーム打率.405と一度乗せると手がつけられません。この打力は相当な脅威となるはず」(同)

 激戦区の愛知県を勝ち抜いて春夏連続出場を勝ち取った東邦は、藤嶋健人投手と、正位置は外野を守る松山仁彦選手の二枚看板。「最速146キロの速球と落差のあるカーブが持ち味の藤嶋は、この夏から使い始めたカットボールが面白いように決まり始めました。また、140キロ超の速球と鋭い角度のスライダーが武器の松山も、先発と抑えで計16回1/3を投げ、奪三振24で失点は2と好調です」(在京スカウト)

 この2人の投手を中心に、チーム防御率は0.71と鉄壁。ちなみに、この2人は大谷翔平(日本ハム)ばりの二刀流選手でもある。特に藤嶋のバッティングセンスには、プロのスカウトも熱い視線を送る。「予選では投手に専念したため、13打数1安打(二塁打)、打率.077という数字に終わっていますが、プロに入ったら打者転向は間違いないといわれるほどの逸材です」(前同) 予選で不調だった藤嶋の打撃が甲子園で爆発すれば、怖いチームだ。

「いなべ総合学園は、春には二枚看板の投手陣でしたが、控え投手2人が急成長して、今や四枚看板。この豊富な投手陣に加え、チーム打率.353の強力打線。まさにダークホースと言える、総合力のチームです」(スポーツ紙デスク)

 他にも、特筆すべき選手はいる。松山聖陵のアドゥワ誠投手は、身長196センチの超大型投手。予選では全6試合、41回2/3を投げて、奪三振23、防御率1.30と抜群の安定感を見せた。打者で特筆すべきは、中京(岐阜)の今井順之助選手。高校通算68本塁打の長距離打者だが、「県大会で徹底マークされ、打たせてもらえなかった」(デスク)という。甲子園で、その鬱憤を晴らせるだろうか。

 京都翔英の石原彪捕手も、高校通算42本塁打の“打てるキャッチャー”。「練習では木製バットを使い、いかに球を芯で捉えるかという練習を繰り返しています」(地元紙記者) そのひたむきさからか、“京都のドカベン”と呼ばれる彼にも注目したい。

 これだけの逸材がそろった今夏の甲子園。彼らが、どれほどの熱いドラマを繰り広げてくれるのか、しばらくはテレビから目が離せない!

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