僕が騎乗するのは、「ローズステークス」で、パートナーはレッドアヴァンセ。春のクラシックで後れを取ったシンハライト、ジュエラー……といったライバルたちとの差をどうやったら逆転できるのか!? その手がかりを探り、やれるという自信を深めるレースにしたいと思います。
本当は、馬と会話ができれば事前に打ち合わせも出来ていいのですが。「前半は抑え気味で、3コーナー過ぎからスパートしよう」とか、「逃げられるようなら逃げよう」とか、「前半はじっくりと内で脚を溜めていこうよ」とか(笑)。
でもそれは無理なので、馬の気持ちを考えながら、最大限の力を引き出せるような競馬を心がけます。今年の夏は、騎乗停止もあって、なにひとつ爪痕を残すことができないまま終わってしまいました。
2万回騎乗しても、どうしたら勝てるのか、分からないことだらけで、悩みは増すばかりです。でも。分からないから、難しいから、面白いのが競馬。こんなに面白いものに出逢い、こんなに長く続けられていることに、感謝の気持ちでいっぱいです。
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