――やっぱり競馬は難しい。

 エイシンヒカリとともに挑んだ「天皇賞・秋」は、あらためて、その言葉を噛みしめるようなレースになりました。1枠1番から絶好のスタート。道中の折り合いは、この馬にしてはつきすぎるくらいのいい感じで、4コーナーを曲がり、最後の直線に入るあたりまでは、

 ――いける。

 という手応えを感じていました。ところが……。後続を突き放す力はまだ十二分に残っているはずだし、実際、頭の中では突き放すイメージが出来上がっていたのですが、まったく反応がないままズルズルと後退。12着に終わってしまいました。

 ――なぜ?

 競馬記者やファンの方が思う以上に、僕がそう思っています。何か理由があるのか。あるとしたら、それは何だったのか。それとも、単純に走るのがいやになっただけなのか……こんなときは、馬と会話ができないことに、もどかしさを感じます。

 走るときは、気持ちいいほどの脚を使うのに、走らないときは、まったく走らない。それがエイシンヒカリだと言ってしまえばそれまでなのですが、うーん、それにしてもです。ただ、答えの出ないことを、あれこれ考えても仕方がありません。大事なのは、結果は結果としてきちんと受け止め、だらだらと、いつまでも引きずらないことです。

 次走はこの馬のラストラン、香港カップ。最後の瞬間まで、馬を信じて、ともに頂点を目指します。2016年も残りわずかとなりましたが、競馬はこれからが本番。今週から、いよいよ、G1レース7連戦が始まります。

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