真っ二つに斬られた胴体から噴き上げる、血しぶき……残虐なシーンに悲鳴をあげつつも、なぜかドキドキしてしまう麻美ゆまです。
そんな大のスプラッター映画好きの私が今回会いに行ったのは、日本のスプラッター映画の第一人者であり、『シン・ゴジラ』『進撃の巨人』などの話題の大作でも特殊メイクを手掛けていらっしゃる、映画監督の西村喜廣さんです。しかも、西村さんのアトリエでお話を聞かせてもらえるとのこと。ヤバいっ、ドキドキです。
ゆま「今日はお忙しいなか、お時間を作ってもらって本当にありがとうございます。(アトリエを見回しなが)うわぁ、すごいっ! スプラッターやら拷問やら……私の好きそうなタイトルの本がいっぱいありますね。おや? あそこに飾ってある大きな絵は、西村さんの自画像ですね。頭にフォークが突き刺さっていますよ。さすがです!」」
西村「アハハ。ここに置いてある本はほんの一部ですよ。ちなみにあの絵は知人が描いてくれたものです」
ゆま「へえ~、ここにいるだけで一日中、楽しめそう」」
西村「本当に好きなんですね(笑)」
ゆま「はい! もう大好き、大好物です。私の中では、スプラッターは“芸術”なんです。もちろん怖いし、気持ち悪いんだけど、飛び散る血のりや、ぐちゃぐちゃになった臓器だって、人が作りあげているもの。そう考えると、すごいなあ、とウットリするんです」
西村「そう言っていただけるとうれしいですね。僕がこの世界に目覚めたキッカケも、最初はそんな興味でした。あれはどんなふうに作っているのだろう、と」
ゆま「へえ~。目覚めるキッカケになった作品とかははあるんですか?」
西村「やはり、小学生で観た『スター・ウォーズ』ですね。僕が小学生のとき、初めて日本でスター・ウォーズが公開されたんです」
ゆま「第1作目ですか?」
西村「はい。エピソード4ですね。当時はCGもなかったのですが、あの特殊メイクは子ども心にも衝撃的でしたね」
ゆま「映画の内容よりも、特殊メイクに目を奪われていたんですか?」
西村「はい。今思えばあの頃から変わった子でしたね。スプラッター映画を観ても怖いとは思わず、“どうやって作っているんだろう”ばかり考えていましたね」
ゆま「実際、特殊メイクを始められたのは、いつ頃からですか?」
西村「小学生の頃から自分でいろいろと作っていました。高校の頃には、友達の顔に粘土を被せて“型取り”をさせてもらったこともあります。ただ、専門的な知識もまったくないので、友達の顔から石膏が取れなくなって大騒ぎしたことも(笑)。とにかく、ずっと独学でやってきました」
ゆま「え? 専門の学校には通ってないんですか?」
西村「はい。スプラッター映画を観て研究したり、本を読んだり、特殊メイク学校に通っていたアシスタントに聞いたりしながら、覚えていった感じですね」
ゆま「すごいです」