たとえば新守護神候補のカミネロは、メジャー通算149試合で7勝5敗1S、防御率3.83の成績を残しており、確かにリリーフ経験は豊富なのだが、中継ぎが主で抑えの経験がない。もっと気になるのは制球力。57試合を投げた今季は、60回3分の2を投げて、33四球を与えている。つまりは“ノーコン”なのだ。「澤村が頼りにならないからといって、澤村以上に制球が不安定な投手を獲ってくるとは」(巨人軍OB)と、一部では早くも“ダメ助っ人”認定の声もある。

 他の新加入選手にしても、日本一の人気球団である巨人の中で、前チームで見せた力を発揮できるのかは、まったくの未知数だろう。

「マギーを獲ったことで、ポジションのかぶる村田修一(36)か阿部慎之助(37)のどちらかは、億の年俸をもらう“代打要員”になってしまう可能性が高いし、陽岱鋼の獲得で、亀井義行(34)、橋本到(26)、重信慎之助(23)といった“一軍半の選手”の出場機会は激減するはず。これが、チーム内に不協和音を生み出す元になりかねません」(前出のスポーツ紙デスク)

 マギーの補強は、負の連鎖を招くと指摘する球界関係者は少なくない。「彼は楽天時代がピーク。その後、メジャーに行ったけど、1年間は活躍したものの、以降は鳴かず飛ばずだった。巨人は“日本野球の経験がある即戦力”と評価しているみたいだけど、全盛期はとっくに過ぎているね」(前出のOB)

 補強の成否はシーズンが始まれば分かるとして、選手を動かす監督、コーチ陣が正しく機能しなければ勝利はおぼつかないだろう。「実は、昨シーズンの由伸監督は、監督に決まるまでは選手だったためか、遠慮して選手たちに指示を出せなかったんです。前半戦は特にそうでした。それで、選手から“うちの監督は何もしない”とナメられた部分もあったようです。たとえば坂本勇人(28)は“原監督時代は一球一球待てとか、打てとサインが出ることもあったけど、去年は自由に打てた”と言っています。結果、坂本は首位打者に輝きますが、“どの選手に対しても、こういうやり方でいいのかな”と疑問の声も上げているんです」(巨人担当記者)

 主力選手と監督の不協和音はチームに致命的なダメージを与えるが、坂本だけではなく、阿部も監督に不信感を抱いているという。

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