16年11月に示した行程表では、17年4月には専門家会議が豊洲の安全性の検証と対策をまとめ、5月に都のプロジェクトチームが報告書を作成。夏頃に都知事が移転について最終的な判断を行い、早ければ17年冬から18年春に移転、というスケジュールだった。

「急激に濃度が上がっているため、都は今回の結果を“暫定値”として扱い、再調査を表明。再調査結果は3月中に公表し、その後も調査を継続するといいますが、正直、どう決着するのか、見通しがまったく立ちません」(都庁関係者)

 思わぬ結果に頭を抱える小池氏の鬱憤が爆発したのが、去る16日の『羽鳥慎一 モーニングショー』(テレビ朝日系)だった。豊洲問題を報じる同番組に対し、<こちらは問題の本質に触れず、調査会社選びに話を向けていることが興味深い。別人格とはいえ、コメンテーター選びにこそ違和感あり。>と、番組画像をつけてツイッターに書き込んだのだ。

「この“別人格”とは、コメンテーターとして出演していた石原良純のことです。豊洲移転は彼の父の石原慎太郎が都知事だった頃に始まったことなのに、事情聴取にも応じない無責任オヤジのセガレを出す番組が、あれこれ言うの!? という怒りが伝わってきますね」(民放局関係者)

 この夏、小池氏は対立してきた都議会自民党との天王山となる東京都議選を控える。毎日新聞のインタビューで、都議選で豊洲市場の問題が焦点になるか、と問われた小池氏は、「当然そう。いかにして豊洲に決まり、課題と問題を議論したのか。そこを争点から外すほうがおかしい」と回答し、移転決定の流れに関わってきた都議会自民党との対決姿勢を改めて示した。

 さらに、「豊洲という場所に決めたことには私自身、もともと疑義がある。サンクコスト(回収不能な投下資金)にならないためにどうすべきか、客観的、現実的に考えていくべきだ。本当に胃が痛い」と本音を覗かせた。

「知事サイドは、さまざまな角度から検証・調査をしていくでしょう。“都民ファースト”を実現するうえで、議会対策は欠かせない。議会で多数派を形成できないと“都民ファースト”も掛け声だけで、予算・政策を展開できません」(前出の鈴木氏)

『文藝春秋』2月号の立花隆氏との対談で、<毛沢東の手法に「一点突破、全面展開」があります。これが私のモットーです。環境大臣時代に手がけた「クールビズ」もそうでした。そして今は「東京大改革」です。まずは「一点突破」から始めなければなりません。>と語った小池氏。

 はたして、ドロ沼化した豊洲問題を一点突破できるのか。女傑の真価が問われている。

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