ただ、“これがうまくいったら、自分がひとつ成長できるんじゃないか”、そう思えるいい作品に出会うことが、役者をやっていておもしろいところですからね。そのために、コミカルな役も、シリアスな役もやりました。鹿賀丈史はこういう役だろうなと思われるより、“次はどんな役をやるんだろう”って思ってもらいたいですしね。

 役だけでなく、ジャンルも舞台をやって、映画、ドラマもやった。あとは、『料理の鉄人』のようなバラエティもやりました。舞台だけやっていたら、どこかで煮詰まってしまったかもしれない。そういう意味で、色々なジャンルをやった結果が、45年もやってこられた理由かもしれません。

 色々な役もやりましたが、年も重ねた今は、これまで生きてきた人生が透けて見えるような役が好きですね。今回の映画『相棒』でも、とても悲しい過去を背負った人物なんですが、その中に優しさが垣間見える。表面的な部分ではなく、そういった人間が背負ってきた歴史を表現することが求められる役柄だったので、とてもおもしろかった。

 ただ、常に納得のいくおもしろい作品ばかりに出会うわけではありません。それでも、続けること。それが役者にとって一番大事なことなんだなと思います。

 一番できそうで、できないことだと思いますけどね。まだまだ体も動くし、いろんなことができそうですから、もうちょっと、頑張ろうかなと思っています。

撮影/弦巻 勝

鹿賀丈史 かが・たけし
1950年10月12日、石川県まれ。高校卒業後に、オペラ歌手を目指し、上京。72年に、友人に誘われた『劇団四季』のオーディションに合格し、入団。74年、『イエス・キリスト=スーパースター』で主役に抜擢され、一躍脚光を浴びる。79年に劇団を退団後、『野獣死すべし』『麻雀放浪記』『キャバレー』などに出演し、3度日本アカデミー賞助演男優賞を受賞するなど、映像の世界でも高い評価を受ける。98年にはミュージカル『レ・ミゼラブル』で、菊田一夫賞を受賞。現在も舞台、映画、ドラマと幅広く活躍中。
鹿賀丈史さんの出演作である映画『相棒-劇場版4- 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断』は全国ロードショー中!

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