清和会の安倍首相から、宏池会の岸田外相へ。路線は築かれつつあるという。できれば現在の逆風をうまく乗り切り、東京五輪をつつがなく終えてから岸田氏に禅譲。それが麻生氏の描く絵なのだ。しかし、「そう簡単に事が運ばない可能性もあります。2人の“邪魔者”が、麻生氏の自民党支配を阻みにくるでしょう」(前出の事情通)

 その一人が、宏池会の元会長、古賀誠元幹事長だ。「政界を引退していますが、なにせ本流の宏池会のボス・岸田氏の師。今も隠然たる影響力を誇っています。古賀氏の地盤は麻生氏と同じ九州ですが、政策は水と油で、関係的にも犬猿の仲。古賀氏がいる限り、岸田氏は麻生派との合併に首を縦に振りづらい。古賀氏を排除できるかどうかが、大宏池会構想のカギと言えるでしょう」(前同)

 さすがに、“本家乗っ取り”は一朝一夕にいくものではないというわけだ。さりとて、そう悠長にしてもいられない。それは麻生氏をはじめ、現リーダーたちが、どうしても勝てない相手“若さ”を持つ相手が迫っているからだ。

「それが、小泉進次郎農林部会長です。国民に圧倒的な人気を誇り、党内でも地道に経験を積んで風格も出てきている彼が“長老同士の談合に反対する!”と敢然と叫ぶ時が来たら……」(前出の政治部記者)

 実は、現在の自民党には、当選1~3回、年の頃では40代前半までの若手議員が150名以上いる。進次郎氏が40歳を迎える21年には完全に自民党の中心勢力となっており、そのとき81歳の麻生氏、67歳の安倍首相、64歳の岸田氏の思い通りになるとは限らない。

「安倍首相が来年秋に自民党総裁として3選されず、もしくは総選挙で敗れて退陣する可能性もありますが、仮に任期を全うするとしても、そのときには、さらに力をつけた進次郎氏が、再び父・純一郎氏のように“古い自民党をぶっ壊す”かもしれません」(前同)

 麻生氏の野望を打ち砕くのは、他派閥でも、野党でもなく、誰も抗えない“時”を味方につけた者たちなのかもしれない。

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