野村克也、落合博満、王貞治…プロ野球「名監督たちの神采配」プレイバックの画像
野村克也、落合博満、王貞治…プロ野球「名監督たちの神采配」プレイバックの画像

 野村克也氏が「野球は頭が8割」と言ったように、野球は、戦術や選手起用によって結果が大きく変わるスポーツである。それゆえ、監督たちの“一手”は時に、ものすごい奇跡を生み出す――。

 第4回WBC閉幕から1か月以上が過ぎた。敗退したアメリカとの準決勝こそ沈黙したものの、筒香嘉智(DeNA)を筆頭とした打線は活発だった侍ジャパン。一方で、大量リード場面での牧田和久(西武)の投入や、則本昂大(楽天)、平野佳寿(オリックス)の“イニングまたぎ”など、不可解な采配があったのも事実。眉をひそめたファンも多かったことだろう。

 そこで今回は、伝説的な名采配を、スポーツ紙記者、スポーツライターらとともに選出。歴代監督たちの見せた華麗なる手腕の数々を振り返っていく。

「ヤクルト時代以外は、結果が伴っていませんが、純粋に“采配の妙”ということで言えば、やはり野村克也監督の采配を真っ先に挙げたいですね」(スポーツ紙デスク)

 今では一般的になっているギャンブルスタートや、12年にDeNAの中畑清監督が、ロッテ戦で成功させたフォースボークといったトリックプレーも、野村監督が始めたもの。「“再生工場”と呼ばれた意外性のある選手起用でも実績を残している。引退を決意していた選手の寿命を延ばすことになった、92年の日本シリーズ第1戦での杉浦享の代打サヨナラ満塁ホームラン。97年の巨人との開幕戦で飛び出した小早川毅彦の3打席連続本塁打なんかは、まさしく、その真骨頂でしょうね」(前同)

 阪神時代の00年には、左腕の遠山奬志と右腕の葛西稔を、マウンドとファーストで交互に起用する「遠山葛西スペシャル」なども話題を呼んだ。その翌年のオープン戦では、「F1セブン」の一角として売り出した、ルーキーの藤本敦士を一塁、赤星憲広を三塁に置いた場面。藤本にわざとつまづかせて、赤星に本盗をさせるというトリックプレー(フォースボーク)も成功させている。

 楽天監督時代の08年「巨人対楽天戦」も、野村監督の策士ぶりが際立った試合。巨人の原辰徳監督は、2点ビハインドの9回2死から盗塁のサインを出し、野村監督は「バッカじゃなかろかルンバ」と揶揄し、話題になった。

「マスコミを通じ、相手の監督やチームを挑発することで、優位に立とうとするのが野村監督のやり方。あの言葉もすべて計算ずく。采配は、グラウンドの中だけではないということを体現していましたね」(スポーツ紙中堅記者)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5