■羽生結弦の育ての親は女帝

 フィギュアスケートの世界にも、女帝がいるという。現在、羽生結弦選手が所属するANAスケート部の監督・城田憲子氏(72)だ。「現役時代は、全日本選手権で連覇も成し遂げた名選手で、1994年に日本スケート連盟フィギュアスケート強化部長に就任。かなりのやり手で、伊藤みどりや浅田真央を世界で活躍させるため、知恵を絞った手腕は見事でした」(民放局記者)

 その一方で、2006年には連盟の巨額使途不明金問題でやり玉に上がり、一度失脚している。「ただ、そこは女帝。現在は羽生結弦選手の“育ての親”として、影響力を取り戻しています」(前同)

 だが、金銭にまつわる“疑惑”は現在も尽きない。「ソチ五輪後の14年4月、ケガが癒えない羽生選手に対して、城田は“アイスショー”に出演するよう、強要したそうです。羽生選手の将来を思えば辞退すべきですが、彼が出れば高額な出演料が入るし、スポンサーへの面子も保てたからではないでしょうか」(同)

 体操、レスリング、ボクシング、相撲、フィギュアと見てきたが、他の競技の首領については文末を参照してもらうとして、最後にサッカー界の首領を紹介しておきたい。「6月14日から開幕したロシアW杯の本番直前に、サッカー日本代表のハリルホジッチ監督が電撃解任されましたよね。表向きは成績不振、選手との意思疎通が取れていなかったことが理由にされていますが、実際は、日本サッカー協会の首領こと田嶋幸三会長による“反乱分子の粛清”だったようです」(専門誌記者)

 いったい、どういうことか。「もともと、ハリルを招聘したのは、2015年に田嶋さんと協会で会長選挙を争った原博実さんだったんです。つまり、田嶋さんにとって、ハリルはライバルである原さんが呼んだ監督だから、最初から気に食わなかったのではないか、と噂されていますね」(前同)

 その証拠に、田嶋氏は自分が会長に当選するや、原氏に“2階級降格”の人事を打診。結果、原氏はJリーグ副理事長に就任した。「後任監督は、人畜無害な西野朗さんでしたよね。これが“代表監督更迭劇”の真相ですよ」(同)

 なんともはや……。何にせよ、首領たちがアマスポーツ界を牛耳るこの状況は決して良くない。スポーツジャーナリストの二宮清純氏は、こう指摘する。「女子体操や女子レスリングもそうですが、一人の指導者が代表の強化責任者と学校、クラブの監督を兼任していたことに問題があると思います。権力の一極集中は利益相反の疑いがあることに加え、パワハラを引き起こしやすい。こうした構造にまで踏み込んで、第三者委員会にはメスを入れてもらいたいですね」

 目前に迫った東京五輪。アマスポーツ界は、膿を出しきることができるか……。

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