朗読詩人 成宮アイコ エッセイ
「愛せない日常と夜中のイヤホンで流れるアイドル」
朗読詩人の彼女が、大好きなアイドルのことと、なかなか好きになれない自分と生活のことを綴る連載。その第4回は、タイムラインに流れてきたアイドルへの暴行事件についてです。
<気持ちが死んだときに無意識に出てしまう力のない笑顔を、誰もしなくていいように>
連日、タイムラインに流れるアイドルの暴行事件。
わたしは、ある場面の動画を見て以来、この事件のニュースに触れることがとてもきついです。
その動画では、被害者本人がファンの前で「お騒がせして誠に申し訳ありません」と頭を下げていました。力のない表情は、気持ちを殺されたときに出てしまう笑みに見えました。あきらめの笑顔ほど、見ていてつらいものはありません。
辻褄合わせのツギハギのように見える第三者委員会の会見中、被害者となってしまった女の子の「なんで事件が起きてからも会社の方に傷つけられないといけないんでしょうか」というツイートは、見た瞬間スマホを伏せてしまったくらい胸にささりました。
なぜなら、わたしも似たようなことを体験したことがあるからです。