プロレスファンの皆さん、お待ちかね。今回、私が会いに行ったのは『新日本プロレス』のメディカルトレーナーで、元プロレスラーの三澤威さんです! 新日本プロレスのトレーナーを務められている一方で、筋トレやエクササイズに関する書籍やDVDも数多く出されています。まずはプロレスラー時代の話からお伺いしました。
ゆま「ちょうど私が生まれた頃に、三澤さんはプロレスラーとしてデビューされているんですね」
三澤「あ~、そうなんですね。自分は今年でデビュー“30周年”になるんですよ。先日、30周年パーティもさせてもらいました」
ゆま「おめでとうございます!」
三澤「ありがとうございます。そのパーティで、まさに30年ぶりに、ライガーさんと改めて話をしたんです。直接ではなくメッセージをいただいたんですが」
ゆま「え? あのぉ、私も少し調べてきたんですけど、三澤さんはデビューされてすぐに獣神サンダーライガーさんとの試合でケガをされているんですよね?」
三澤「ええ。デビューして2か月たった頃、ライガーさんとの試合で“浴びせ蹴り”を食らい、頚椎を損傷してしまったんです。それで一時期は寝たきり生活だったんです。それでもプロレスを続けたくて、なんとか復帰したものの、やっぱり一度頚椎を痛めているので、またケガをしてしまって……」
ゆま「プロレスラーの人はケガがつきものだと思いますけど、デビューされて、これからってときだったんですもんね。でも、ライガーさんとはこれまで、その話はしてなかったんですか」
三澤「ええ(笑)もちろん、僕は新日本プロレスのトレーナーなので、ライガーさんともふだんから会っていますけど、別にケガをした試合のことなんか話さないです。そういうもんですよ。だから今回、ライガーさんから、あの試合のことに関するメッセージをいただいたときは驚きましたね」
ゆま「30年越しですもんね。ケガをされた当時は、やはりつらかったですか?」
三澤「そうですね。後悔しましたよ。試合が組まれなければよかったとか、相手が別だったらよかったとか。ただ、今は“ケガをしたおかげ”ではないけど、こうやってトレーナーの仕事だったり、自分の整骨院を開いたりできている。そう考えるようになりましたね」
ゆま「すごい。気持ちを切り替えられたキッカケとかは、あったんですか」
三澤「諦める、ということを覚えたんです。諦めるという言葉はネガティブに聞こえますが、仏教では“明らかにする”という意味なんですね。まずは自分が、もうプロレスをできないことを明らかにする。そうすると、人生はすごく楽になります」
ゆま「諦めることは明らかにすること……。目から鱗が落ちる思いです。私なんて諦めることがなかなかできなくて、いつもクヨクヨ悩んでいますから……」
三澤「僕もその考えに至るまで、相当時間がかかりましたよ。ただ、自分で努力しても無理なことが明らかになれば、自分が何をしたいのか見えてきたんです」
ゆま「それは、なんだったんですか?」