アイドルの肖像 —— 写真集から考える
第2回 いま改めて『乃木坂派』を読む
2013年10月に刊行された写真集『乃木坂派』(双葉社)は、乃木坂46の記念すべきファースト写真集である。結成が2011年8月21日で、デビューは2012年2月22日だから、デビューから1年半が経った頃ということになる。
AKB48の公式ライバルとして結成されたが、デビュー時は、AKB48選抜総選挙が前田敦子か大島優子かで盛り上がりを見せていた時期で、公式ライバルとしての存在感はまだまだ薄かった。だからこそ少数派である『乃木坂派』なのだろう。
臨海学校という設定で、千葉県の牧場やキャンプ場や海で過ごした全メンバー32名(結成時からすでに4人のメンバーが卒業)の様子が、222カットで構成されている。物撮りはわずかに3カット。総ページ数は160ページ。A4サイズ。多くは集合写真で、時折ひとりで写るカットが差し込まれる。
どれも積極的に撮られているというよりは、カメラを意識させないショットで、限りなく盗み撮りに近い。なんでも4人の女性写真家とはほぼ初対面とのこと。そう聞けば、まるで本当の臨海学校に同行するカメラマンのような姿が目に浮かぶ。それに、デビューから1年半というタイミングは、ちょうど高校2年の夏に臨海学校にいくのと同じ様なリアルさがある。