筒井あやめ&賀喜遥香の初個人PVで描かれた「アイドル門出の瞬間」【乃木坂46「個人PVという実験場」第11回 4/4】の画像
※乃木坂46筒井あやめ/画像は本サイトの記事(https://exweb.jp/articles/-/73319)より

乃木坂46「個人PVという実験場」

第11回 4期生にとっての個人PV 4/4

■アイドルという世界に入っていく瞬間を描く

 ここまで3週にわたり、4期メンバーをテーマにして個人PVやその派生としてのドラマ作品をみてきた。初週にあたる9月1日更新分(/articles/-/81752)では、遠藤さくら初の個人PVとなるドラマ作品「わたしには、なにもない。」を扱ったが、同作はグループの伝統としての純ドラマ作品を志向しながら、アイドルとしての門口に立つ現実世界の遠藤自身ともリンクする、架空の前日譚にもなっていた。

 その遠藤ら4期メンバーが乃木坂46に本格合流するひとつの節目は、初個人PVの発表から3ヶ月後の24枚目シングル『夜明けまで強がらなくてもいい』であった。同シングルではセンターに抜擢された遠藤とともに、同じく4期生の賀喜遥香筒井あやめもフロントメンバーに選出されている。そしてこの2人の初個人PVとなる作品でもまた、アイドルという世界に参入してゆく門出の瞬間がそれぞれのスタイルで表現されていた。

 遠藤を含めた3人の個人PVのうち、アイドルになることへの希望を最もポジティブに描いたのが、筒井あやめの個人PV「筒井あやめのアイドル開幕宣言」だった。

https://www.youtube.com/watch?v=ZYM9Gz4I_HE
(※筒井あやめ個人PV「筒井あやめのアイドル開幕宣言」予告編)

 オリジナルソングをメインに構成される作品群もまた、個人PVが育んできたひとつの代表的パターンである。手作り感のあるワンカット撮影風の前半からやがて装いを変えつつ未来を夢想する本作は、そうした音楽型個人PVの流れをくむ新たな一作となった。監督を務める吉川エリは、2017年に発表した中村麗乃の個人PV「ちょこれ~の!」以来、一貫してオリジナルソング作品を手がける作家である。

https://www.youtube.com/watch?v=JaAAO1NGyAM
(※中村麗乃個人PV「ちょこれ~の!」予告編)

 楽曲を担当するニシノアサキと吉川のコンビは、かつての福島真希による「まりっか」シリーズがそうであったように、音楽型個人PVの中でもゆるやかな空気感でメンバーを捉え続け、近年の個人PV史において存在感を放っている。乃木坂46の歩みとともに、個人PVの軌跡もまた8年超を数える中、新たな映像作家たちの参入によってグループの映像コンテンツは循環しながら進化していく。

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