■シリアスなシーンで見せた高い実力

 第8話では、柊をかばって撃たれた葵が、病院へ運ばれて緊急手術を受けるが、意識は戻らず危険な状態が続く。柊は葵を守れなかったことを流星(鈴木伸之/28)に責められ、肩を落として帰宅すると、そこには千景と死んだはずの丈一郎が。柊は混乱して……という展開。

 状況を飲み込めない柊に、千景が詩織の正体を明かすと、「ありえないでしょ」と信じようとしない。そこで、武尊がSOSに暗殺されるまでの経緯を語るのだが、その回想シーンで田中は、武尊の死の真相に触れていく姿と、彼が残した愛のメッセージに涙する姿を熱演。

 さらに、詩織が武尊を殺したと丈一郎に訴えたが、「そんなバカなことあるわけねぇだろ!」と一喝されてしまう。そこで、千景は「もしも、この話がウソだったら、私を殺してもかまいません!」と、命がけで真実を伝えようとする田中の眼力は迫力満点で、壮絶な演技に圧倒された。

 バラエティでの恋愛や美容トークが人気の田中は、昨年4月期放送のドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)の、名セリフ「ゆるさなーーーーーーい」をきっかけに女優としても人気上昇。その後は『俺の家の話』(TBS系)や『生きるとか死ぬとか父親とか』(テレビ東京系)など、ドラマでも引っ張りだこだ。

 ドラマ自体は平均世帯視聴率5.9%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と苦戦している。しかし、田中があざとかわいい”キャラを必要としない、ひとりの女優として覚醒できたことは、大きな収穫だったといえる。(ドラマライター/ヤマカワ)

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