仲本工事(撮影・弦巻勝)
仲本工事(撮影・弦巻勝)

 ザ・ドリフターズ全盛期の頃は、とにかく忙しかったですね。日、月、火と地方の営業があって、土曜日の『8時だョ!全員集合』(TBS系)は生放送。合間に『ドリフ大爆笑』(フジテレビ系)や『ドリフと女優の爆笑劇場』(テレビ朝日系)なんかを撮って、さらに映画と劇場公演が年に2本ずつ。しかも、それぞれキッチリ稽古していましたからね。怒濤のように駆け抜けた感じですよ。

 そもそも、僕は音楽がやりたかったんです。なのに、いつの間にかそれが音楽コントになり、そのうちコントだけになっちゃった。しかも、稽古のたびに、いかりやさんから怒られながらね(笑)。

 ドリフというのは、いかりや長介というワンマン社長がいる会社みたいなもの。社長の言うことが絶対で、誰も反対できない。でもね、メンバーにはとても厳しかったけど、リーダーとしては素晴らしかった。いかりやさんがワンマンだったからこそ、ドリフはみんなから愛されるグループになれたんだと思うんですよ。

 そして、メンバーのバランスが良かった。加トちゃん(加藤茶)は天才型で、ひらめきとパンチ力がある。志村(けん)は努力型で、外国の映像を取り寄せたり、いろんな音楽を聴いたりして、常に貪欲でしたね。高木(ブー)さんは……何と言ったらいいのか、不思議な人。ただ、存在感がすごい。いいんじゃないのかな、5人のうち1人くらい存在感だけで勝負する人がいても(笑)。

 それぞれが、それぞれのポジションと順列をしっかり分かっていて、ドリフという“社会”を崩さなかった。だから、消防署だろうが兵隊だろうが家族だろうが、どんなコントをやっても同じように笑ってもらえたし、16年も続けられたんです。

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