3月16日、日本損害保険協会が、『第23回自動車盗難事故実態調査結果』を発表した。
「自動車盗難防止対策の一環として、毎年実施されている調査です。2021年の結果によると、トヨタのランドクルーザー(以下=ランクル)が盗難件数でトップになりました。続いて、2位がプリウス、3位にレクサスLX、4位がアルファード、5位がクラウンと、ベスト5をトヨタ車が独占したんです」(全国紙社会部記者)
本誌で劇画『麻雀放浪記』を執筆する漫画家の嶺岸信明氏も、“ランクル”の盗難被害に遭ったと語る。
「数年前のことですが、仕事場近くの契約駐車場に停めておいた車が盗まれたんです。仕事の後、麻雀の予定があったので駐車場に向かったところ、あるはずの車がなかったんですよ」
盗難届を出して数日後、近隣の駐車場で、嶺岸氏のゴルフバッグが投棄されているという連絡があった。
「窃盗団は、足がつくのを恐れて、車内にある物品には手をつけないとか。ただ、車内にあったお気に入りの革靴は見つかりませんでした。文字通り、足がつくのを恐れたんでしょうね(笑)。数か月後、県警の国際捜査課から、タンザニアで発見されたと連絡がありました。盗難保険に入っていましたが、愛車は諦めるしかありませんでした」(前同)
盗難率が高いということは、国内外を問わず人気車種であることを意味するという。レーシングドライバーで、自動車評論家の松田秀士氏が、解説する。
「昨年、ランクルがモデルチェンジした際の試乗会でも乗りましたが、やはりいい。悪路走破性能は、ベンツのゲレンデワーゲンなど1000万円クラスの車に匹敵します。また、トヨタは世界中にディーラーがありますから、トヨタ車は海外でもダントツのブランド力があるんです」
ランクル人気は、中古車市場でも“横綱級”だという。
「人気がありすぎて、中古車市場でもほとんど出回っていない。ディーラーから新車を買う場合も、4年待ち状態です。新車で800万円ほどですが、3000キロ走った中古車が1600万円で取引されるなどの逆転現象も発生。盗難被害が高いのも頷けます」(大手中古車販売店スタッフ)
高級車ということならベンツやBMWの盗難被害が増えてもおかしくないが、圧倒的に人気なのはトヨタ車だという。
「高級外車は、バッテリーなどの細かい部品が、国産車に比べて2〜3倍と高額ということもあり、中古車市場で敬遠されるんです。対して、スープラ、ハイラックス、プリウスなどを筆頭に、トヨタ車は全般的に買取価格が高値安定しています」(前同)
トヨタ車以外にも、「キャンプや車中泊がブームなので、後部座席をフルフラットにできるホンダ車も人気ですね。また、ガソリンの暴騰で、燃費のよい軽自動車の中古車価格も上がっています」(同)
人気車種に乗る方は、盗難にご用心されたし!