「終の棲家は夢のおもちゃ御殿!」中山俊春「昭和のおもちゃを愛する男の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
中山俊春

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■人生を賭けたおもちゃ収集を理解されず笑われたことも……

 好きなものに囲まれて暮らせたら、どんなに幸せだろう。この幸せを実現した男性が京都の宮津にいる。

 中山俊春さん(66)は昭和のおもちゃ収集家。3年前に新築した家の玄関には、なんと昭和30年代の駄菓子屋を再現。さらに秘密めいた扉を開けると、ブリキのロボットをはじめとした、おもちゃ専用のコレクションルームが現れる。まさに、夢のおもちゃ御殿なのだ。

「最大時で10万点は超えていたと思います。この家を建てるまで、おもちゃを実家に置いたり、土地を買って建てた倉庫に保管したり、散在していました。コレクションの約9割を処分し、この家に集めたんです。ここは僕の終の棲家か 。老後は好きなものに囲まれて過ごしたいと考え、人生の集大成として設計しました」

 9割も手放して、それでもなお、この膨大な量とは恐れ入る。さらに60代にして、おもちゃを並べることを前提に家を新築した決意にも感服だ。

 昭和のおもちゃを集め始めたのは昭和54年頃。趣味だったハンググライダーの学校を開くため脱サラし、武者修業のつもりでキャンピングカーに機体を積んで、日本全国のフライトエリアを巡っていた。しかし、旅先で風向きが変わったのだ。

「各地の古いおもちゃ屋さんには売れ残り商品がたくさん眠っていたんです。当時はレトロなおもちゃに価値があるとは思われていないから、どれもガラクタ同然の扱いでした。なので、買い漁ったんです。高くても当時の定価、中には“タダでいいから持って帰って”と、店の人にせがまれた例もありました」

●日本中を回って収集中には高額なお宝が

 沖縄を除く日本中を2年かけて周回し、集めに集めた廃棄寸前のおもちゃたち。中には第二次世界大戦後に北米を中心に輸出された、貴重なブリキ人形もあったという。バブル期には一体100万円以上の値がついたお宝もある。

「のちに懐かしのおもちゃが評価され、僕のコレクションも理解してもらえるようになりました。けれども、当時は変人扱い。知人から鼻で笑われた日もありましたね」

 2年の旅を終えた中山さんは宮津の海岸沿いに、昭和のおもちゃを展示した喫茶店『コーストライン』を開店。以来、閉店までの35年間、人々の目を楽しませた。そうして令和の幕開けとともに、「好きなものに囲まれて暮らす夢」をかなえたのである。

「古いおもちゃを眺めていると、ワクワクドキドキする気持ちがよみがえってきます。コレクションに囲まれていると楽しくて、時間がたつのを忘れるんです。保管費が大変なので、すべてを放棄しようと思った日もありましたが、諦めなくてよかったです」

 宮津は日本三景の一つ「天橋立」が有名だが、新たに、昭和おもちゃの殿堂という絶景が誕生した。

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

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