関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■関西の若者たちが爆笑の渦に…おばちゃん芸人の毒舌トーク!
73歳の芸人『ハナゲのおばちゃん』が今、ブレイクしている。きっかけはTikTok。夫との丁々発止なやりとりを撮影した動画が若者にウケ、5万回を超える再生数を記録。「このおばちゃん、めっちゃ、おもろい!」と話題になっているのだ。
「この年で注目されるなんて、人生って、何が起きるか分からんもんやねぇ」
年齢こそ73歳だが、今年でデビュー10年目を迎える、いわば「お笑い第七世代」にあたる若手。とはいえ、ネタは「入れ歯、値切りましてん」
「この間、シルバー風俗の面接に行ってきたんよ」と、シニア世代にしか醸し出せない熟成された味わいがある。
芸人になるまでは、ごく普通の主婦だった。しかし、当時から浪速のおばちゃん節全開の毒舌トークには定評があり、その話術に感心したピン芸人の山田ジャックが「演芸をやらないか」と進言。好奇心で立ってみた初舞台で爆笑をかっさらい、現在に至るのだ。
「初舞台は少しも緊張せえへんかったね。私が遠慮なく毒を吐くもんやから、お客さんのほうが緊張してはったわ。あはは」
■我慢をせず楽しく生きれば健康に!
そんな彼女は週に6日間、西成の立ち飲み屋で調理や接客を担当。酔客たちを豪快にあしらっている。飲み屋の仕事が終われば寄席に駆けつけ、漫談を披露する。店でも舞台でも立ちっぱなし。「70代には酷ではないか」と心配になるほど、ヘビーな日々を送っている。
「元気いっぱいですよ。立ち仕事が、むしろ体にええんやろね。先日、デイサービスの施設へ慰問に行ったんです。そしたら、入所している人たちが私より年下でね。切ない気持ちになったわ」
このようにパワーみなぎる彼女は、驚くことに一時期は高齢者アイドル『hana』としても活動していた。
「テレビ番組のオーディション会場へ行ったら、当たり前やけど、周りのアイドルはみんな10代や20代ですねん。みんなから、“このおばはん、誰?”という冷たい目で見られましたわ」
ところが、10代のアイドルたちを差し置いて、審査の結果はなんと2位。ちなみにオーディションの日に歌った曲は布袋寅泰の『POISON』。さすが毒舌一代女。首尾貫徹している。
今日も舞台で「高齢者あるある」ネタをぶちかます彼女、健康の秘訣は――。
「我慢せんと、楽しんで生きることやね。たばこはスパスパ吸うし、コーラは1日で5本飲みます。コーヒーには、カレースプーンで山盛り3杯の砂糖を入れますねん。行きつけの居酒屋に砂糖をキープしているくらい、甘いものが好きやから。節制なんてしたことないけれど、体はどっこも悪くないですよ」
好きなことだけして、本音で生きるハナゲのおばちゃん。若者たちが、彼女の動画に夢中になる理由が分かった気がした。