関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■ホラー小説家が熱く語ったちょっと奇妙な場所の魅力!
ホラー小説家の最東対地さん(42)が、初の旅行エッセイ集『この場所、何かがおかしい』(エクスナレッジ)を上梓した。
旅行エッセイといっても、そこは日本ホラー大賞受賞作家。有名な景勝地を巡る、よくある、ほのぼの紀行文ではない。親子二代で造った貝殻だらけの公園だったり、膨大な量のマネキン人形が並ぶ怪しい私設テーマパークだったり、どの場所も「何かがおかしい」のだ。
「もともと観光地には、まったく関心がなかったんです。関西在住ですが、京都の寺社仏閣や奈良の大仏にもまるで興味がない。税金で大切に保護される文化財よりも、大金持ちが個人で建てた巨大な観音像など、ちょっと変な場所に惹ひ かれるんです」
最東さんが怪異な場所を訪れるようになったのは、小説家デビュー前。きっかけは、やはりホラーだった。
大阪のとある繁華街に、首を吊った遺体が3体も見つかったと噂される通称「首吊り廃墟」がある。この知る人ぞ知る心霊スポットを訪ねた記事をブログに掲載したのが、「何かがおかしい」旅の始まりだった。
「自分で車を運転して全国を巡るようになったのは、小説家になってから。小説の取材をするために、戦跡を訪ねるようになりました。
旧日本軍が要塞にしていた島、太平洋戦争の際に毒ガスを製造していた島、お守りを持っていた兵士の全員が生きて帰ってきた神社など、戦争の爪痕が残る、さまざまな場所を巡りましたね。
毒ガス島と呼ばれる場所には、野生のウサギがおよそ千羽もいて、エサ欲しさに追いかけてくるので怖かったですよ」
■昔の人気観光地には朽ち行く退廃美が…
戦跡を取材しに行ってウサギに襲われる最東さん。このように、彼は全国を旅するうちに次第に、目的地だった戦跡以外の場所も「何かがおかしい」と気がつき始めた。
「人間の皮膚を表紙にした本など、奇書ばかりを扱う古書店や、ほとんどの筐体が通電していないにもかかわらず、24時間営業している廃墟同然のゲームセンターなど、日本にはガイドブックに載らない奇妙な場所がたくさんあるんです」
時間を見つけては珍スポットを旅する彼。休日に行ける絶好の場所は?
「山梨の清里がいいですよ。バブル期は“ミニ原宿”と呼ばれ、若者でごった返していました。当時に建てられたメルヘンチックな建物やタレントショップの数々は、現在も撤去されず、静かに朽ちていっている。そこに退廃の美学を感じるんです。営業しているお店はまだたくさんあるし、空気もおいしいので、オススメです」
この週末、個性豊かなマイナースポットを訪ねてみてはいかがだろう。有名ではあるけれど、何時間も行列しないと入れない施設のほうが「何かがおかしい」と感じるかもしれない。
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