関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■ミステリーの女王が隠し続けた“真実”に女性作家が迫った!
京都に住む小説家、花房観音さん(51)が初めて挑んだノンフィクション『京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男』(幻冬舎文庫)が話題だ。
これは生前200冊以上もの本を上梓し、“ミステリーの女王”と崇められたベストセラー作家、山村美紗の光と影に迫ったルポルタージュ。2020年に単行本として刊行した後も取材を続け、新事実を加筆した文庫版である。
原作の多くがサスペンスドラマ化された国民的作家でありながら、彼女を研究した書籍は、意外にも、これが本邦初だ。
「出版社や書店に多大な貢献をした人なのに、没後20年となる年でさえ、フェアが開催されませんでした。一時代を築いた女流作家が、こんなに簡単に忘れられていいのかと憤りを感じたのが、この本を書いた動機です」
■コンプレックスを創作の原動力に…
本書でまず驚かされるのが、山村美紗を支えた“ふたりの男”の存在。一人は公私ともに励ましあった戦友、西村京太郎氏。もう一人は数学教師の夫、山村巍氏。
山村美紗は、夫がいる事実を担当編集者にすら秘密にしていた。葬儀の際に喪主として姿を現した巍氏を見て、「あれは誰だ」と騒然となったのだそうだ。
山村美紗は、なぜ夫の実在を隠していたのだろう。
「美紗さんは数字のトリックを得意とする人でした。けれども、当時は“女に理系のトリックが書けるわけがない”と、差別的な誹謗中傷を受ける場合もあったんです。数学教師の夫に、ありもしない代筆疑惑の目を向けられるのを避けるために、秘していたのだと思われます」
山村美紗亡き後、巍氏はひたすら在りし日の彼女の油絵を描き続けた。そのタッチは稚拙ながら妻への愛にあふれており、涙を誘う。
男社会で伍するために、月に15冊もの新刊を書きまくり、死闘の日々を送った山村美紗。ときには豪勢なパーティを開き、編集者たちをかしずかせ、「女王」のように振る舞った夜もあったという。そんな行為を、花房さんは「理解できる」と語る。
「美紗さんが精力的に書き続けられたのは、コンプレックスがあったからだと思うんです。多くの傑作を遺しながら、文学賞を一度も受賞できませんでした。
大衆小説は純文学に比べて下に見られる傾向にあり、そのため正当に評価されなかった。私も官能小説を書いているため、読みもしない人から“エロ女”と決めつけられた経験があります。そんなときに沸いてくる“なにクソ、見返してやる!”という怒りが、私に文章を書かせるんです。美紗さんにも、そんな気持ちがあったのでは」
文庫版には「ふたりの男」のその後をたどった新章と、衝撃の最終ページがある。日本にミステリー小説の楽しさを伝えてくれた無冠の女王に、改めて敬意を表したい。
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