僕らジョッキーは、調教師の皆さんを、“先生”と呼びます。

 一般的に、“先生”とは、学問や技術や芸能を教える人。教師、医師など、学識がある人や、指導的立場にある人。自分が師事する人に対して使う言葉だそうですが、競馬では、“師”という意味合いが近いような気がします。

 年齢や、競馬学校での先輩、後輩は関係ありません。僕は3期生で、藤原英幸先生は4期生、角田晃一先生は5期生、四位洋文先生は7期生ですが、ジョッキーである僕にとってはみんな、“先生”です。

 ただ、同じ“せんせい”でも、僕の中には漢字の先生と、カタカナのセンセイの2つがあり、周囲で聞いている人には、同じに聞こえるかもしれませんが、少し違います。

 兄弟子の河内さんは、半分は師で、半分はプライベートで、いろんなところに連れて行ってくれた兄のような存在でしたが、調教師になったそのときから、僕の中では、河内洋先生です。

 昨年、調教師試験に合格し、今年、厩舎を開業したエビちゃん(蛯名正義)は、2人だけのときは変わらず、エビちゃんですが、競馬場や、周囲に人がいるときは、蛯名センセイ。

 弟の幸四郎は、ジョークを交えて、幸四郎センセイと呼ぶことも、たまにありますが、やっぱり、僕にとっては、どこまでいっても弟の幸四郎です(笑)。

 そして、親しみを込めてカタカナの“センセイ”で呼んでいるのが、競馬学校1期生の石橋守センセイと一期下の4期生で、現役時代、何度も一緒にアメリカ遠征に出た千田輝彦センセイたちです。

 その千田センセイが自信を持って送り出したヤマニンゼストとのコンビで挑んだのが、10月23日に行われた三冠レース、最後の一冠、菊花賞でした。

 父はシンボリクリスエス。母父はディープインパクト。前走の神戸新聞杯は、決め打ちが見事にハマって、12番人気を覆しての2着。見事、菊花賞への権利を勝ち取った期待馬です。

 前半はリズムを大切にして、我慢の競馬。勝負は最後の直線です。その期待に応えるようにヤマニンゼストは、馬群の後方を力強く走り、結果は6着。

 わずかに悔いが残るのは、後方集団が一気にスパートをかけた4コーナー。あそこを、もう少しうまく捌さ ばけていたら……。

 勝ったアスクビクターモア、2着のポルトグフーシュ、3着のジャスティンパレスに追いつくのは無理でも、5着……いや、4着はあったかもしれません。

 暦が変わる11月は、新たな気持ちでスタート。強い気持ちで挑みます。

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