北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を繰り返す中、「Jアラート(全国瞬時警報システム)」に注目が集まっている。
「11月3日、北朝鮮から発射された弾道ミサイルが“日本の上空を通過する恐れがある”として、宮城、山形、新潟の3県に、Jアラートが発信されました」(全国紙防衛省担当記者)
だが、その50分後に防衛省は情報を訂正。Jアラートの発信自体、通過予想時刻を過ぎていたなど、課題が浮き彫りとなった。
「岸田文雄総理らも対応に追われました。ただ、Jアラートに運用上の課題があるのは事実ですが、正しい意味が国民に周知されていないことも大きな問題でしょう」(前同)
Jアラートが発信された場合、国民は正しい避難行動を取らなければならないという。では、ミサイルが着弾した場合、命を落とさないために、我々はどうすればよいのか。
軍事フォトジャーナリストの菊池雅之氏に聞いた。
「Jアラートとは現代の空襲警報です。日本以外にも、イスラエルや韓国など、ミサイル攻撃の危険がある国で導入されています。無意味とするのは間違いで、正しく避難行動を取れるかが生死を分けます」
では、具体的に正しい避難方法を見ていこう。
「アラートでは、ミサイルの種類までは判断できませんが、3種類を想定することができます。まず、ミサイルが地面で爆発する着発射撃。次に、空中でミサイルが爆発し、地表に破片が降り注ぐ曳火射撃。そして、核爆弾です」(前同)
曳火射撃、核爆弾の避難方法は、地下に逃げるのが効果的だという。
「曳火射撃の場合は特に建物の地下や地下鉄構内などに留まることが有効。さらに、鉄筋コンクリート造りなどの頑丈な建物に避難するのも効果的です。ただ、路上の車に隠れるのは無意味。弾頭の破片は、装甲車も貫く威力がありますからね」(同)
また、避難時の鉄則は、「窓ガラスから離れること。地震の際と同じく、風呂やトイレなど、狭い面積に柱が密集している場所に隠れるのが無難です」(同)
万が一、地上に取り残されたら、どうするか。
「着発射撃に備えた最終手段があります。その場でしゃがむ、寝そべる、用水路に飛び込むといった、なるべく低い場所に身を隠すだけでグンと生存率が上がります。その際は、破片が頭に当たらない防御姿勢を取りましょう」(同)
ある日突然、強力なミサイルが飛来する悪夢のような事態だが、そもそも飛翔するミサイルを迎撃することはできないのか?
「我が国はイージス艦とPAC3の2段階の迎撃態勢を敷いていますが、100%の迎撃は不可能でしょう。そのために現在、ミサイル発射の兆候をつかんだ時点で施設を破壊する、巡航ミサイルの保有を進めているわけです」(前出の記者)
さらに、前出の菊池氏は、真に警戒すべきは中国のミサイルだと指摘する。
「北朝鮮には日本を攻撃する意図はなさそうですが、中国は、台湾有事などが起きた際、在日米軍基地を狙うはず。沖縄県嘉手納基地、神奈川県横須賀基地など、周辺地域は攻撃を受けるリスクが高まります」
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