関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■元・吉本興業の専属歌手が人生3回目となる芸能界復帰
西宮で『カラオケパーク姫』を営むママの西城リサさんが、歌手として「再々デビュー」を果たした。再デビューする人は少なくないが、「再々」は珍しい。
「私自身もまさか、もう一度、歌手になるとは想像していませんでした」
そう語る彼女だが、独特な「うなりこぶし」唱法は健在。ブランクを感じさせない圧倒的な声量で観客を魅了している。
新曲『夜明けのコーヒー/夢物語はシグナルで』で復帰を果たした西城さん。歌に関心を抱いたのは小学生の頃。きっかけは、なんと「交通事故」だ。
「骨折して入院し、退屈しのぎに歌謡曲を歌っていたんです。すると、他の患者さんや看護師さんたちから“ええ声してんなあ。もっと聴かせて”とせがまれ、毎晩8時から私のコンサートになりました」
ラジオから聞こえてくる大人びた歌を覚え、病院で披露した少女時代。芸能界へのほのかな憧れを抱き、高校進学後、両親に内緒でスクールメイツに入団。アルバイトをしながら月謝を払った。
同じ頃、たまたま入った喫茶店に貼ってあった「歌手募集」のチラシを見て応募。当時は梅田にあった「エレベーターのようにステージごと各階へ昇降する」システムの食堂ビル「田園」で、歌い始めた。そんなとき、人生の転機が訪れる。
「吉本興業の社員さんが、“誰か歌える子はおらんか”と探しに来たんです」
今はなき「うめだ花月劇場」には歌のコーナーがあり、歌手が出演できなくなったのだ。白羽の矢を立てられた彼女は急きょ、寄席の舞台へ立つことに。
子どもの頃から歌うのが好きで、「リサイタルみたいやな」と言われていたことから、即席で芸名を「リサ」にした。そうしてピンチヒッターとして立った舞台が好評で、なんと吉本興業の専属歌手となったのだ。
「梅田、なんば、京都、すべての花月劇場で歌いました。コントにも、ときどき通行人などチョイ役で出演していました」
■ユーチューブ出演でスカウトされて
歌のうまさが評判となり、ついに19歳で『恋のカクテルセブン』でレコードデビュー。いったん引退後、『冷たい口づけ』で2度目のデビュー。その後に結婚し、再び引退。パソコンソフトを制作する会社に勤務しながら、ごく普通の一般人として暮らすようになった。
そんな彼女が3度目のデビューを迎えたきっかけは。
「ユーチューブです。“歌手がたくさん登場する番組に出ないか”と誘われ、“ユーチューブって何?”と、けげんに思いながら出演しました」
そこで披露した歌のうまさに関係者は驚き、なんとスカウトされた。ユーチューブという新しいメディアが、市井に埋もれた逸材を発掘したのだ。
「このレコードを売り切るまでは引退しません」
人生の3回戦、歌姫が「うなり」を上げて戻ってきた。
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