2023年の開幕を告げる1月5日、中山競馬の1R3歳未勝利戦をシュバルツガイストで快勝。幸先のいいスタートを切ることができました。まず1勝。この時点ではリーディングのトップですから(笑)、うれしさも2倍、3倍です。
1日休みを挟んで開催された3日間競馬の2日目、中京のメインレースとして行われたのが、名馬シンザンの名前を冠した第57回「シンザン記念」です。
このレースで僕のパートナーを務めてくれたのは、武幸四郎厩舎でディープインパクトの最後の世代となる3歳の女の子、ライトクオンタイムです。僕とのコンビはこれが初ですが、理想として思い描いていたのは、デビュー戦と同じく、ポンとスタートを切って、そのまま逃げ切り……というものでした。
プランに陰りが生じたのは、ゲート入り後。そわそわした感じで、一向に落ち着かない。これは……と思った瞬間、ゲートが開き、やや飛び上がるようなスタートになってしまいました。“どうして!?”と言っている場合ではありません。反省も今後の課題も、レースが終わってから考えればいいことです。こうなった以上、もう、腹をくくるしかありません。
――直線勝負! そこまで馬をどうなだめ、脚を溜めるか。その一点に集中して乗っていました。
結果は、ライバルたちを一気に抜き去り、先頭でゴール。道中、外に逃げようとするなど、走りそのものはまだまだですが、GOサインを出した後の末脚と、最後までしっかりと走りきったあたりは、さすが、ディープの子です。2走目でこのパフォーマンスですから、この先、課題を克服できたら、いったいどこまで強くなるのか、楽しみしかありません。
この勝利は、僕自身にとって、JRA通算重賞350個目の勲章となりました。うれしさより、昨年、やり残した宿題をようやく終えることができたという、ほっとした気持ちが優っているような気もします。
デビューから37年連続の重賞Ⅴという、もうひとつの宿題も、早々に片づけることができたし、“持続可能”な53歳、SDGsジョッキーとして、今年はガンガン行きたいと思います(笑)。
さぁ、それでは今週末の騎乗馬です。大いに期待しているのは、G2東海ステークスに出走を予定しているクリノドラゴンです。
前々走のJBCクラシック(交流G1)では、この馬らしい走りで4着と健闘。前走の浦和記念(交流G2)では、豪快な差し切りⅤで、初重賞をゲットと、走るたびに力をつけてきている印象です。
クリノドラゴンの成績は28戦5勝。これまで8人のジョッキーが手綱を取っていますが、5勝はすべて僕とのコンビで挙げたもの。愛着があるし、勝ったときのうれしさは格別。あのうれしさをもう一度、です。
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