今年、初開催となった阪神競馬の2日間。13鞍に騎乗して、1着3回、2着4回。勝率2割3分、連対率5割を超える成績を残すことができました。
3割バッターが一流の証と呼ばれる野球とは違い、ジョッキーは、勝率が1割を超えると、「うん、今年は頑張ったな」という気持ちになるし、1割5分を超えると充実した1年だったと思えるし、2割を超えると“勝ちまくった”という感覚です。
実際、JRAの年間勝利数が200を超えた2005~07年の勝率は、2割4分前後。手前みそながら、すごい。いや、ものすごい数字です(笑)。
阪神初日に挙げた白星は、ハービンジャー産駒のリューベックとともに挑んだ10Rの但馬ステークスでした。前半、少し力んでいましたが、直線で抜け出すときの脚はかなりのもので、この後も期待できそうです。
2つ目の白星は、翌2日阪神8Rのこぶし賞で、パートナーはモズメイメイ。こちらはリアルインパクト産駒で、条件さえ合えば、大きな勲章を手にするチャンスもありそうです。
そして、最後が――皆さん、お待たせしました。昨年のダービー馬、ドウデュースの華麗なる復活です。
昨秋、世界に挑んだ凱旋門賞は、残念ながら大惨敗。帰国後、ジャパンカップを回避し、今回は休養明けでしたが、チーム・ドウデュースとしては、揺るぎない自信がありました。
こんな馬じゃない。彼らしい競馬さえできれば、もう一度、主役の座に。
思いはそれぞれですが、みんながドウデュースの復活を信じていました。
レース内容は、完勝といっていいと思います。向こう正面で、ちょっと行きたがるところを見せましたが、それは、元気が有り余ってのこと。直線の反応も素晴らしく、最後まで、らしい競馬で完全復活を証明してくれました。
さぁ次は、今春の最大目標、3月25日、UAEメイダン競馬場で開催されるドバイターフ。ドウデュースを信じ、チーム一丸となり、世界の壁に挑みます。
このいい流れに乗り、さらに勢いをつけたいと思っている今週末、2月25〜26日の競馬についてお話しましょう。
26日は、G2・中山記念が待っています。
これまで僕が勝ったのは、98年のサイレンススズカと、04年サクラプレジデントの2回。3度目のVを狙う今年のパートナーは、ウマ娘でおなじみの藤田晋オーナー、弟・武幸四郎厩舎所属のドーブネ。初重賞制覇をかけた挑戦です。
父ディープインパクト、母プレミアステップス
昨年は、骨折のアクシデントで、思い描いていた道を進むことができませんでしたが、心機一転、新たなる挑戦の始まりです。
コースとの相性、距離適性、格上のライバルたち。厳しい戦いになるのは十二分に分かっています。分かったうえでの、挑戦です。
「武豊 人生に役立つ勝負師の作法」最新記事