関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■筋金入りの鉄道マニア芸人がついに鉄道会社を設立(脳内)
「♪なんのこっちゃね~」のギャグでおなじみ、ピン芸人の代走みつくにさん(48)は、「鉄道大好き芸人」としても知られている。同じく鉄道マニアであるコンチェルト池水とともに、ライブシアターなんば紅鶴で毎月最終月曜日に鉄道トークイベント「準急べにつる みつくに・いけみずの鉄道友の会」を開催。3月27日で驚異の79回を数えた。
「段ボールで車両を作って廃線跡を走ったり、目的地を決めずに青春18きっぷで旅をしたり。そんな鉄道よもやま話をする会です。僕らより鉄道に詳しいお客さんが来るので、間違った話をすると、客席からツッコミが入ります。毎回、お客さんの副音声がすごいんです」
彼が鉄道に関心をいだいたのは幼少期。きっかけは大阪と兵庫を結ぶ阪神電鉄だった。
「実家が阪神の石屋川車庫のそばにあり、いろんな車両を見て育ちました。幼稚園や小学校の図画の授業では必ず阪神電車の絵を描いていましたね」
成長するにしたがい、興味は次第に廃線へと移っていった。「乗り鉄」「撮り鉄」などさまざまなジャンルの鉄道ファンがいるが、彼は言わば「廃鉄」である。
「廃線跡は家庭菜園や市営の畑などに再利用されて、街にけっこう残っています。そういう場所を見つけるのが楽しいんです。
特に好きなのは、1993年に廃止された南海天王寺支線の跡ですね。かつて存在したレールに沿って、弓なりに住宅が建っている。鉄道と暮らしがつながっていた歴史が風景として今もあって、ロマンを感じます。
路線はなくなっているのに、天王寺にまだ立ち食いの南海そばが営業しているんです。“電車が走っていた時代の名な残ごりやな”と思いながら食べると、さらに、おいしいですよ」
■誰も乗車できない?万波急行電鉄とは!?
もう電車が走っていない場所に立ち、往時の姿に思いを馳せる。そんなふうに想像を膨らませるのが自分なりの鉄道の味わい方なのだそうだ。そして妄想は特急のように止まらなくなり、なんと! ついに「架空の鉄道会社」を脳内で運営するまでに至った。
「万波急行電鉄といいまして、千万湾の沿岸を走る路線です。山手側には大水溜温泉という名湯が湧き、万波岬にはレダマワールドというテーマパークもある楽しい路線なんです。あと、地元の民謡歌手が歌う『万急沿線数え歌』というご当地ソングもありまして……」
聞いていて思わず「なんのこっちゃね!」と言いたくなるほど、存在しない路線の存在しない名所を熱く語り続ける彼。7年前から毎月『万急だより』という架空の広報誌まで発行しているから、マニア度がすさまじい。この面白さが関西ローカルで終わるのはもったいない。ビューンと全国へ延伸してほしいものだ。
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