「VFXの第一人者が娯楽伝奇時代劇を製作!」大木ミノル「ホラーアクション時代劇を撮った男の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
大木ミノル

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■苦労の末に完成した娯楽時代劇原動力は“諦めない”精神!

 関西生まれのホラーアクション映画『妖怪剣客』が公開される。時は江戸時代、居合抜きの達人・座頭と剣豪・柳生十兵衛の2人は、天草四郎に捕らわれた若者を救出すべく、島原へと向かう。しかし、そこに現れたのは、巨大な妖怪。2人は無事に若者を救出できるのか……。最新のCG技術で魅せる痛快時代劇なのだ。

「奈良や淡路島に残存する古家や集落でロケをしました。いつも時代劇を撮っているスタッフも、“こんなに立派なお屋敷、太秦の撮影所にもないぞ”と驚いていました」

 こう語るのは大阪を拠点に活躍する大木ミノル監督(55)。彼は実在する風景にコンピュータで合成処理を施す

「VFX」(ビジュアル・エフェクト)の第一人者だ。そんな大木さんがどうして、時代劇を撮ろうと考えたのだろう。

「私の伯父は中岡源権という、日本アカデミー賞最優秀照明賞を受賞した照明マンなんです。よく、勝新太郎さんや長谷川一夫さんの時代劇を担当していました。そんな伯父の影響で、時代劇には親しんでいたんです」

 彼は幼少期から、大河内傳次郎や阪東妻三郎のチャンバラ映画を好んで観ていたというからシブい。

 しかし、自分で監督するとなると話は別。

「時代劇は予算がかかるし、何かと大変だ」と尻込みをしていた。そんなとき、俳優の池田駿介氏から、「中岡さんの遺志を受け継いで、あなたも時代劇を撮ってみてはどうか」と勧められた。

「そうですねえ……なんて作り笑いを浮かべ、その場はお茶を濁していました。ところが、提案してくださった池田さんが1年後に、お亡くなりになったんです。あれは池田さんの遺言だったのではないかという気がして、“なんとしてでも、時代劇を撮らねばならない”と決意したんです」

■艱難辛苦を乗り越えいよいよ映画公開!

 そうして時代劇の製作を始めてみたが、テスト撮影の段階で早くも資金が尽きてしまい、頓挫。幸い、文化庁から助成金が交付され、製作の続行が可能となった。

 ただ、撮影が再開できたものの、現場は大変だったという。

「淡路島の撮影場所のそばに広大な太陽光発電所があり、おびただしい数のソーラーパネルが並んでいました。だから、太陽光の熱で、めちゃめちゃ暑いんです。汗で俳優のメイクがすぐに落ちるし、まいりました」

 挫折や苦労があったが、映画はなんとか完成した。

「僕の人生のポリシーは“諦めない”なんです。諦めなかったから、完成させることができた。観ている人にも、諦めない気持ちの大切さを伝えたいです」

 話題の映画『妖怪剣客』は4月22日から十三シアターセブンにて公開。その後、順次、全国ロードショー。夢を諦めたくない貴方に、ぜひ。

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

吉村智樹のこの人、どエライことになってます!

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