「自らの肉体すら実験台にして技術を磨く!」SHINRYU TATTOO STUDIO辰流「世界に名をとどろかせる刺青師の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
辰流

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■伝説のギタリストにして刺青師彼が追求する究極の絵柄とは!?

 1980年代の関西パンクロックシーンにおいて「最恐」「極悪」と呼ばれたバンド『Mモブス.O.B.S』。惜しまれつつ解散したが、オリジナルメンバーであるYAMANE氏(58)の呼びかけで2016年に再始動。

 そんな彼らの集大成と言うべき待望のアルバム『目醒めたつもりの夢みる者へ』が発売された。新曲「能書の錬金術師」他、物議を醸すこと間違いなしの問題作が収録。令和の時代に針を刺す痛烈な一枚だ。

 針を刺すと言えば、関西パンクファンなら知らぬ者なしの名ギタリストYAMANE氏には、実はもう一つ、刺青師「辰流」という顔がある。フランスやスイスで開催されたタトゥーの世界大会で優勝するなど受賞歴多数。イギリス、ドイツ、オーストラリアなど、さまざまな国から招かれ、世界にその名をとどろかせるカリスマなのだ。

「優勝は何度もしたけれど、コンテストの勝敗は正直に言って、あまり興味がないですね。それよりも海外のコンベンションに参加し、日本にはないタトゥーの技法や最新の器具に触れられるほうが、自分には大事。とても勉強になるし、技術や絵柄も、その都度、アップデートしてきました」

 刺青師としてのキャリアは28年。兵庫県の西宮にて「SHINRYU TATTOO STUDIO」を営んでいる。得意とするのは黒一色の濃淡で表現する難度が高い技法「ブラックアンドグレイ」。経験がものを言うワザだ。刺青のスキルを磨くために、ときには自らの肉体を実験台にする。

「自分の膝を使って刺青を試しています。緊張していると痛くないけれど、気が緩むと痛くてしかたがない。“もうイヤや”と思う場合もあります(苦笑)。けれども、自分の体で試さないと、うまくならないし、お客さんの痛みは分からないです」

■刺青師に弟子入りし修業後に関西で開業

 辰流さんが初めて刺青を入れたのは21歳。

「刺青師になりたい」と思うようになったのは、バンドでの東京進出を果たしてからだった。

「上京してから刺青がさらに増えました。中でも江戸川区で開業している刺青師であり、日本画家である龍志師匠のフィーリングに影響を受けました。そして弟子入りを志願したんです」

 そうして東京で刺青師としての修業を積んでいた1995年、阪神・淡路大震災が起きた。故郷の西宮は壊滅状態。実家のガスや水道も止まってしまった。

「家族を助けるために西宮へ戻りました。その後、師匠から辰流の名をいただき、故郷にスタジオをオープンしたんです」

 刺青の美学で、まさに故郷に錦を飾ったわけだ。好みの絵柄はドクロ。

「チベタンスカルといって、チベット密教の儀式に使用されるドクロがあるんです。それに和柄の菊をあしらうなど、海外と日本を融合した絵柄を追求したいですね」

 音楽も刺青も、海外に開かれた感性を抱くYAMANEと辰流さん。話題の新譜とともに、世界中にその名が彫り刻まれるだろう。

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

吉村智樹のこの人、どエライことになってます!

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