関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■呪物が巻き起こす怪奇現象で毎晩、倉庫は大運動会状態に!?
田中俊行さん(44)の肩書は「オカルトコレクター」。日本はもとより海外へも渡り、怪談を聴き集めたり、怪異な現象が起きる場所を訪ねたりするのが彼の仕事だ。怪談ネタの豊富さには定評があり、怪談師の頂点を決める全国大会「怪談最恐戦」では2021年度に第4代目の最恐位に輝いた。
そんな彼の震撼、いや新刊が『呪物蒐集録』(竹書房)。恨みが込もった人形、魔術の儀式に使う動物の頭蓋骨など、身の毛もよだつ呪物コレクションおよそ50点を紹介した写真集だ。中には「見るだけで霊障がある」と呼ばれるヤバすぎるシロモノもあり、ページを開くのにも注意が必要である。
「呪物を集めるために300万円以上使いました。万年金欠病に陥ったことが、僕にとっての最大のタタリでしたね(苦笑)」
■呪物が呪物を呼び次々と集まって…
彼が呪物を集めだしたのは、2018年の誕生日、ファンからのプレゼントがきっかけだった。包装を開けてみると、出てきたのは不気味な表情の人形「チャーミー」だった。
「もともと介護施設にあった人形で、捨てても、捨てても、部屋に戻ってくるのだそうです。そしてチャーミーをかわいがっていた人たちは、ごはんを気管に詰まらせて、次々と亡くなっている。そんな、おっそろしいバースデープレゼントでした」
いわくつきの人形を返すわけにもいかず、家へ持ち帰ると、部屋の電気が点滅し始め、パソコンが起動しなくなった。さらに日に日に、歯が伸び始めたというから恐ろしい。
「そしてチャーミーが家に来てから、“うちのも引き取って”と、呪われた品物が次々と集まるようになりました。足に女性の名前がいくつも書かれ、全身に釘が打ち込まれた人形、目が動くというデスマスクなどが一気に僕の元へとやって来た。チャーミーが仲間を呼んでいる気がするんです」
呪物の取材でやって来たテレビスタッフは、釘が打たれた人形を前に凍りつき、「これは、さすがに放送できません!」と逃げるように帰っていったという。そうして呪物はついに150点を超え、収蔵のための部屋を借りる必要に迫られた。
「これまでは実家に置いていたんですが、オカンが“気色悪すぎる。ええかげんにせえ!”とブチ切れましてね。しかたがなく東京に部屋を借りて、倉庫にしたんです。すると、夜になると、呪物の数々から大きな音がするようになりました。仏像は動くし、毎晩、大騒ぎです」
霊感がある知人からは、「警察を呼ぶレベルの死臭がする」と言われた呪物部屋。それでも彼は、なんだか楽しそう。
「呪物とは本来、神聖なもの。お香を焚いたり、祭文を唱えたりして大切に扱えば、いつか福をもたらすと思うんです」
田中さんの元に集まった「呪物」は、やがて「祝物」になるのではないか。
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