「ハードモードな人生を漫画に!」若林アスカ「極貧にあえぐ新人漫画家の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
若林アスカ

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■「挫折と貧困」を笑い飛ばせ!

「極貧美少女マンガ家」と自称する大阪在住の若林アスカさん(23)は、デビュー3年目の新人漫画家だ。お笑いライブのリポートや関西で話題のスポットを紹介するなど、主にルポルタージュ漫画で活躍している。

 そんな彼女が頭角を現すきっかけとなったのが、「挫折と貧困」。前職の美容師時代に経験した苦闘や、現在の貧乏ぶりを漫画にしてSNSにアップしたところ、「悲惨すぎる」と話題になった。

 漫画に関心を抱いたのは小学校3年生。『りぼん』『ちゃお』を愛読し、学園恋愛系漫画に夢中になる、おませな女の子だった。中学生になってから興味は美容へと移り、「将来はヘアメイクになりたい」と夢を描いた。

 中学を卒業し、美容を学べる高校へ進学。そこは美容室で働きながら勉強する実践型の校風で、単位を修得するため15歳で早くも現場アシスタントを務めた。それは、苦悩の日々の幕開けだった。

「週末と祝日は丸一日、美容室で働きました。美容室の定休日は授業があるので、1年を通して休日はほぼありません。朝8時から自主練習して、終業した後も夜遅くまで訓練があり、自分の時間は持てませんでした。仕事で濃い薬品を触るので、指の爪の薄皮が溶け、手がゾンビのようにただれましたね」

 高校を出て美容室の正社員になると、仕事はさらに過酷に。

「誰かが怒られている姿を見ると、自分も胸が痛くなる。イライラしている先輩が怖くて、近寄れない。だんだん出勤するのが怖くて、毎朝、号泣するようになり、人と接するのが嫌すぎて、トイレに閉じこもって、ごはんを食べるようになったんです」

■悲惨な貧乏生活を描き読者が爆増!

 説教されれば深夜までに及び、「おまえは地獄に落ちる」とまで言われた。そうして6年目に、ついに退職を申し出た。しかし、待っていたのは、さらなるいざこざだった。

「給料を実家に納めていたので、親が“うちの家計は、どうなるんだ。高い私立高校の学費を払ってやったのに、美容師を辞めるのか”と激怒し、家にいられなくなりました」

 親との仲がギスギスし、家を出て一人暮らしを始めた若林さん。原点に立ち返り、漫画家を目指そうと決意した。しかし、漫画を描くのは時間がかかる。その間、アルバイトもままならない。蓄えは、みるみる家賃に消えていった。

「モヤシで1週間しのいだんですが、倒れてしまいました。お医者様からは“栄養失調だ”と診断されました」

 20代の女子が、飢えが原因で倒れる。それが令和という時代だ。皮肉にも窮状を描いた漫画が大いにウケ、現在は読者から食糧が送られてくるまでになった。

 出版社の皆さん、サバイバル真っただ中の彼女に漫画を依頼してみては。共感する読者はきっと多いはず。

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

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