「笑いと音楽の二重奏が大ウケ!」桂雪鹿「ヴァイオリンを弾く落語家の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
桂雪鹿

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■特技のヴァイオリンを武器に小学校の先生が落語家に転身!

 上方落語界のホープ、桂雪鹿さん(33)が注目されている。巧みな話術の落語のみならず、ヴァイオリンを弾きながらの漫談が話題となっているのだ。

「ヴァイオリン漫談は、あくまで余芸として始めたものです。けれども、ご好評の声をいただくにつれ、私のアイデンティティとなってきました」

 踏切の音や有名ファストフード店のサウンドをまねたり、JR大阪環状線の発車メロディを再現したり。多彩な音色が笑いを増幅させ、客席が沸きに沸く。

「環状線のネタは師匠(桂文鹿)のアイディアなんです。“駅ごとに違うメロディを弾き分けたら、おもろいやろ”と提案されましてね。無茶ぶりやなと思いましたが、すべて耳コピーして、演奏できるようになりました」

 初めてヴァイオリンを手にしたのは高校3年生。大学進学が実現した暁に、チャレンジしてみたいことの一つが楽器だった。

「大学生だったら普通はギターだろう」と楽器店を訪れるも、想像以上に高価。諦めかけた、そのとき、目に飛び込んできたのが「初心者用ヴァイオリン2万9800円」という商品。これならば!  と手にしたという。

 関西学院大学へ進み、オーケストラ部へ入部するも、周囲は3歳から英才教育を受けているような手練ればかり。初心者は自分だけだった。肩身が狭く、言葉数も少なくなり、部員となじめない日が続いたという。そんな彼に、転機が訪れる。

「オーケストラ部のお楽しみ会があり、私はギャグとギャグをヴァイオリン演奏でつなぐネタを披露しました。これがウケましてね。“君、おもろいやん!”と評価が一気に変わりました。先輩たちがつきっきりでレッスンしてくれるなど、かわいがってもらえるようになったんです」

■入門した次の日がなんと初舞台に…

 もともと母親の影響で幼少から落語に親しみ、中学高校時代はテレビ番組『エンタの神様』『爆笑オンエアバトル』などの影響で、お笑いが大好き。

 高校時代は同級生と漫才コンビを組み、M-1甲子園(現・ハイスクールマンザイ)の地区大会で優勝するほどの腕前を誇った。そんなお笑い好きな一面が、意外にもクラシックの世界で開花したのだ。

 大学卒業後は小学校の教員に。初めは要領がつかめず、保護者や学年主任から叱られることも多かった。だが、持ち前のユーモアのセンスで生徒や教員からは人気があり、打ち上げや忘年会では誰よりも輝いた。

 そんな中、桂文鹿の自由な芸風にひかれ、2018年、落語家へと転身を図る。初舞台は、なんと入門の次の日。ネタは、あのヴァイオリン漫談だった。

「師匠は“漫談するときは前掛けをしたらどうや”と、デザイン画まで描いてくれました。こうなったら、落語と同じくらい力を入れてやるしかないです」

 7月15日(土)は大阪今里Imazato FJカフェにて、7月22日(土)は神戸塩屋heso.にてヴァイオリン漫談を披露する雪鹿さん。笑いと音のアンサンブルを、ぜひ楽しんでいほしい。

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

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