「普通すぎる私の武器は“笑顔”です!」木村美季さん「日本で唯一の“愛嬌接客”専門家の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
木村美季

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■リストラや死別を乗り越えて満面の笑みでお客さんを虜に!

 大阪が世界に誇る観光地といえば道頓堀。インバウンドでごった返す道頓堀で、ひときわ長い行列ができる人気店が、たこ焼、お好み焼、串カツの「くれおーる」。

 味のよさはもちろん、ある女性の愛嬌あふれる接客が話題となっているのだ。

「言葉が通じない国の旅行者でも、精いっぱいの笑顔で接すれば、笑顔を返してくれます。“ハロー!”と声をかければ、わざわざ引き返して買いに来てくれる。愛嬌は国境を超えるんです」

 こう語るのは看板スタッフ、木村美季さん(51)。実は彼女は企業研修講師であり、日本で唯一の「愛嬌接客専門家」なのだ。

「マナー講師は主に礼儀作法を教えます。基本はとても大事です。でも、失礼がないように接するだけでは、お客さんはリピーターになってくれません。では、何が大切か。それは“愛嬌”です。私は、それを教えるために、1年前に“愛嬌接客”という言葉を商標登録しました」

 満面の笑みで客に、たこ焼きを手渡す木村さんだが、彼女の人生は、ときに笑えないほど山あり谷ありだった。16歳から東映京都俳優養成所に通い、20歳からは吉本新喜劇の座員となる。しかし個性を発揮できず、出番がなくなった。

「新喜劇の先輩、大山英雄さんからも“おまえは損している。美人でもブスでもない。賢くないけれどアホでもない。普通すぎるんや”と言われました。普通で平凡だと使い物にならない世界なんだと、痛感しましたね」

 退団後は、アルバイトをしていた屋台村の店長と結婚し、二人で居酒屋を開業。ところが調理を担当していた夫が、過労が原因か、帰宅後に突然死した。

「立ち直るまでに3年かかりました。思い出すと涙が止まらなくなるので、ビショ濡れのティッシュを入れる専用のビニール袋を、持ち歩いていたんです」

■店員の愛嬌接客で店も売り上げ増!

 リストラや夫との死別を経験した彼女は、自分の体験を基に開業支援や接客指導の仕事を始めた。そこで、さらに「愛嬌」の重要性を噛みしめたという。

「普通すぎる私が今日まで生きてこられたのは、笑顔を絶やさない心がけがあったからです。居酒屋時代の常連さんからも“あんたの笑顔が見たいからまた来た。料理がおいしいだけでは何度も来ないよ”と言われました。そして飲食店のサポートをするうち、無表情なスタッフが多いと気がついたんです。“お客様の記憶に残り、何度も足を運んでもらうには『愛嬌』が大事や”と確信しましたね」

 愛嬌接客を教えたことでホールスタッフに活気が生まれ、売り上げを伸ばす店が続出している。この頃は、飲食店以外の企業からの依頼も増えているそうだ。

 愛嬌接客こそが、令和の日本の経済を上向きにする原動力になるのでは。

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

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