関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■夢は怪談で全国ツアー開催今、関西で話題の凸凹コンビ
新進気鋭の怪談師たち7名の実話42編を集めた新刊『なにか、いる』(田中俊行監修/大洋図書)が「おそろしすぎる!」「血の気が引いた……」と話題になっている。怪談の新時代を切り拓く“恐怖のフレッシュマン”たちが集結しているだけあり、どの怪談も血が滴るような新鮮さがあるのだ。
中でも、関西を中心に活躍する若手怪談師、富田安洋さんとウエダコウジさんの文章は切り口が独特だ。身長191センチという大柄な富田さんは、日頃は不動産を取り扱う営業マン。仕事柄「100軒以上の事故物件に立ち会った」という。
富田「仕事を通じて見聞きした怪談を、ずっとノートに書き留めていたんです。不動産や建築業界は特に怪談が多く、取材したノートは10冊を超えました」
取材で得たエピソードだけではなく、小さく「残置物あり」とだけ書かれた物件の押し入れから、チェーンでグルグル巻きにされた仏壇が出てくるなど、自分自身も多くの怪異な経験をしている。そんな彼がプロの視点で語る「不動産怪談」の数々は圧倒的なリアリティがあり、注目されているのだ。さらに怪談のクラブイベントを主催し、300人以上の動員を誇る名物オーガナイザーでもある。
ウエダコウジさんは『EXILE』の映画『HiGH&LOW』シリーズに出演するなど俳優やモデルを本職とする細身のイケメンだ。タレントの北野誠氏がパーソナリティを務めたラジオ番組『誠のサイキック青年団』恒例の「真夏の怪談・心霊特集!」に感化され、怪談にハマった。
ウエダ「大学時代は学校へ行かず、家にこもり、一日中、カセットテープに録音した怪談特集を聴いてました。そんなある日、面識がないおばさんに顔をつかまれる夢を見まして。しかも、まったく同じ夢を母親も見るようになったんです」
■情操教育の一環で子どもに怪談を!
ラジオ番組から流れる怪談によって開眼したのか、自分の身にも不条理な出来事が相次いで起きるようになったというウエダさん。昨年から体操のお兄さんならぬ「こわい話のお兄さん」として、情操教育の一環で、児童に怪談を聞かせる仕事もしている。
巨漢の不動産営業マンとスマートな俳優、シルエットだけ見れば、まるでコメディ映画『ブルース・ブラザーズ』だ。そんな期待の新人怪談師2人がユニット『怪奇少年団』を結成し、イベントなどで人気を博している。
ウエダ「世代が近く、アニメや特撮の趣味がぴったりで、話をしていて楽しかったんです。“だったら怪談も一緒にやろう”と」
富田「ウエダくんは、こう見えて天然ボケなところがあり、怪談イベントなのに笑いが起きるんです。そこが、いいんじゃないかな」
夢は「怪奇少年団の単独イベント」と「全国ツアー」だという2人。怖いだけではなく、デコボコ感が生みだす面白さが彼らの味わいだ。そんな要刮目の怪談コンビが今「確かに、いる」。