「お笑い賞レースはこのコンビに注目!」にぼしいわしさん「東京進出を決意した関西の最終兵器の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
にぼしいわし

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■フリーで活躍中の女性コンビはお笑い界のテッペンを目指す!

 大阪の人気芸人『にぼしいわし』が10月に満を持して上京する。これまで数多の関西芸人が東京進出を果たしたが、「最終兵器がついに東へ向けて発射された」と言って大げさではない。

 おかっぱ頭で天衣無縫なキャラクターの「にぼし」、理知的なツッコミをする「いわし」、ともに31歳。単独ライブをやれば即完売の超満員。駄菓子「うまい棒」の公認芸人にも選ばれ、全国の駄菓子店をめぐってリポートするなど、知名度は全国に拡大している。

 そんな、にぼしいわしは、関西の演芸界では極めて異色な存在だ。2人は高校の同級生。3年生のときにコンビを組んだ。

 卒業後はOLをしながら漫才を続け、2017年にアマチュアながらM-1グランプリで3回戦まで勝ち抜いた。この事実に「すごい素人がいるぞ!」と、業界は騒然となったのだ。

「3回戦の漫才がインターネットで配信されたおかげで、その映像を見てくださった方々からたくさんの出演依頼をいただくようになりました。しかし、OLの仕事をしながら案件をこなすのは限界があったんです。“専業芸人になろう!”と2人で話し合い、2019年に退職しました」(いわし)

 プロへと決起した2019年、女芸人No.1決定戦『THE W』の決勝進出を成し遂げる。以来、なんと3度もファイナリストに選ばれているからスゴい。

 M-1グランプリも2019年から4年連続で準々決勝へと駒を進めており、実力は折り紙つきだ。

■東京で自分を鍛えて賞レースに殴り込み

 アマチュア時代から注目されてきた彼女たちには、もう一つ、大きな特徴がある。それは、どこの事務所にも所属しないフリーランスであること。関西の女性芸人が無所属で、ここまで売れた例は過去にない。

「会社の後押しや誰かのコネでライブに出るんじゃなく、“おもろいから呼ばれる”存在になりたい。そのためにも、フリーでいようと決めたんです」

 2人は声を合わせて、そう言う。しかし、マネージメントを自分たちでしなければならないフリーランスは、それなりの苦労や障壁がある。彼女たちもまた、現実の厳しさに悩んだという。

「関西には、フリーの芸人がエントリーできる賞レースがないんです。それが上京を決意した理由の一つでもあります」(いわし)

「それに上京した先輩方、みんな、めっちゃ面白くなってるんです。それは、きっと東京で闘って鍛えてはるからやと思うんです。私たちも“もっと鍛えなあかんな”って」(にぼし)

 秋から冬にかけ、キングオブコント、THE W、M-1グランプリ、R-1グランプリと、フリーにも出場資格があるお笑いのビッグタイトルが目白押しだ。

 上京すぐに、これら賞レースに挑む、にぼしいわしが大魚に出世する姿を見守ろうではないか。

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

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