「目には見えない大切な世界について描きました!」ロビンやすおさん(48)「霊が視える少年を描く漫画家の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
ロビンやすお

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■京都は神様と仏様と妖怪が同じ場所に存在している街!

 京都を舞台にした漫画『スサノオくん』が人気だ。

 スサノオくんは元気で明るい男子小学生。ただ、彼には他の子どもたちにはない能力が備わっていた。なんと、霊や神仏が「視えて」しまうのだ。

 そんな彼が次々と巻き起こる怪異な事件を解決し、神仏を助け、迷える霊を成仏させる“神”感覚ファンタジーなのである。

「街の中に神仏の施設がこんなにたくさんあって、機能している都市は世界規模で見ても京都しかありません。京都は神様と仏様と妖怪が同じ地域に存在しています。目には見えない、もう一つの世界があるんです」

 スサノオくんを躍動感たっぷりに描く作者のロビンやすおさん(48)は、そう語る。古都を駆け巡る、わんぱく少年の活躍は世代を超えて支持され、

「8歳から80歳までファンレターが届く」という。

 ロビンやすおさんも、スサノオくんのように活発な学生時代を送った。

「体育と美術の成績だけは一番じゃないとイヤでした。高校時代は美術部でしたが、学校の誰よりも足が速かったです。大学時代は校舎の3階から飛び降りるなど、エネルギーにあふれてました」

■30代半ばから「視える」ように…

 芸術を学べる京都精華大学の卒業制作で撮ったアニメーション作品が評価され、2005年、約5年もの歳月を費やして制作したストップモーションアニメ『緑玉紳士』でプロデビューを果たした。08年からは京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科で准教授を務め、後進を育てる立場となる。

 そのような中、内面に変化が起き始める。幼少期から霊的異変には遭遇していたが、35歳を過ぎた頃から感覚がさらに鋭敏になり、目には見えないものが、ときおり「視える」ようになってきた。

 目が覚めると、灰色の雲から女の手だけが現れたり、神様が緑色の光をまとって現れたり。水を司る龍神である高たかおかみのかみ龗神を祀っている貴船神社へ向かって、龍が飛行している姿も目撃している。

 さらに、ある年の元旦、体に異変が起きた。

「眠っていると金縛りに遭い、青い光を放つ雷に打たれたんです。いわゆる気象としての雷ではなく、別次元の雷でした。その頃、学校の仕事が忙しく、自分の作品を生み出せていなかった。雷に打たれて、“目には見えない大切な世界があることを世の中に伝えるのが、自分の役目なのだ”と、改めて気づかされたんです」

 この夜の出来事がきっかけで大学を退職し、メッセージが伝わりやすい漫画というスタイルでの表現を模索する。そうして22年の七夕の日に、ウェブコミック誌『コミックPASH!』で『スサノオくん』の連載がスタートした。

 9月1日には、主婦と生活社から単行本の第2巻が発売される予定だ。

「お子さんやお孫さんと一緒に楽しめる漫画です。誰しもの心の中にいるスサノオくんを呼び起こしてもらえると、うれしいです」

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

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