天候にも恵まれた今年のGWは、熱気あふれる中での競馬開催となり、お伝えしたいことが山積みです。

 テーオーロイヤルで天皇賞(春)を勝ち、G1ジョッキーの称号を手にした菱田雄二騎手。ドバイでの落馬負傷から戦列復帰を果たしたクリストフ(ルメール騎手)。大先輩、岡部幸雄さんの記録を超えるJRA通算2944勝目を挙げたノリさん(横山典弘騎手)。

 まだまだ、あります。好スタートから道中、3番手をキープ。直線を向いて、“さぁ、行くぞ!”とエンジン全開の直前、外から斜行してきた馬のアオリを受けたボンドガールのNHKマイルカップ。

 海外では、歴史の扉をこじ開けようと果敢に挑んだケンタッキーダービーで、勝利を掴みかけたフォーエバーヤングの熱い戦いもありました。6日は、ノットゥルノで名古屋グランプリを快勝することができました。

 そんな中、心が激しく揺れ動いたのが、“盟友”オリビエ(ペリエ騎手)の引退です。

 世界中のビッグレースで必ず顔を合わせていたオリビエの姿を、今年のドバイでは見ることができず、なんとなく嫌な感じはありましたが、まさかでした。

 書籍『武豊×オリビエ・ペリエ 勝つには理由がある』(小学館)に収録した対談で、

「日本では僕がどんなに頑張ってもユタカさんには敵わない。いつもユタカさんが勝っちゃうからね」と言いながら、ニコニコ笑っていましたが、そんなことはありません。

 30年前、短期免許で親父(武邦彦)の厩舎にやって来ましたが、驚くほど勝ちまくり、僕自身、何度、悔しい思いをしたことか数えきれません(笑)。

 クリストフにとっては最高の兄貴分で、彼が今、日本で騎乗しているのも、J・モレイラ騎手やD・レーン騎手といった世界で戦っているジョッキーが、当たり前のように短期免許を取得して日本で乗っているのも、オリビエが道を切り拓いたからこそ。

 野球でいえば、メジャーリーグへの道を作った野茂英雄さんと同じ先駆者。

 最高の友であり、最高のライバルでもあった彼と、もう一緒に乗れないんだと思うと、ちょっと切ないような寂しいような……なんとも言えない気持ちです。

 オリビエの分まで――と言うのはおこがましいですが、僕は騎乗依頼をいただけなくなるまで、勝ちにこだわって、乗り続けます。

 それでは今週の騎乗馬です。春のクラシック戦線も、後半戦に突入。19日はオークスが待っています。

 僕のパートナーは、スウィープフィート。桜花賞は、前を塞がれ、無念の4着に終わりましたが、距離が延びるのも、広い東京コースに替わるのもプラス要素。強力なライバルたちを相手と互角に戦えたことも、大きな自信になりました。

 これまで、このレースを勝った名牝3頭、ベガ、ダンスパートナー、エアグルーヴに続く4勝目を狙います。

あわせて読む:
・二刀流の天才・大谷翔平「神進化の軌跡」15年【画像】花巻東、日ハム、エンゼルス、ドジャース時代「専門家がフォームを徹底分析」
・レディースオールスターで万券的中!ファン投票1位の美女レーサー守屋美穂がV