「大阪都構想」に反対する自民、公明、民主に対して「ならば民意を問おう」と橋下徹氏が仕掛けた3月23日投開票の"出直し大阪市長選挙"が終わった。

結果は辛勝。

23・59%と史上最低の投票率に終わり、無効票はなんと6万票。
民意なき、お寒い"無観客選挙"だと冷やかす向きもあるが、身内の「大阪維新の会」市議会議員も、「キツいわ」とため息を漏らす。

「有権者から、ボロクソに言われましてん。"市の財政が火の車だから、市と府を一緒にして無駄を省く"と言うとったのに、なんで、勝つに決まっとる選挙をカネかけてやるねん。札束を淀川に捨てるようなものやないか、とね」

大阪市長選にかかった費用は、約6億円。
言うまでもなく、市民の血税である。

「だったら、大阪伝統の国立文楽劇場への補助金をカットするな、って。敬老バス事業の見直し、新婚世帯への家賃補助停止、国民保険料の軽減見直し……全部コストカットで赤字を切り詰めてきたのに」(前同)

橋下氏本人は、選挙期間中、実に1000か所にも及ぶタウンミーティングを実施し、"市の財政を救う都構想"を説明、理解を求めた。

しかし、市民からはこんな反応が。
「橋下さんは"市営地下鉄は市民の税金で作ったのに、利用者の7割は大阪市民以外。そういう人のためにせっせと税金を使ってる"と言い、民営化すべきだと主張しています。でも、東京の人は、都営地下鉄に都民以外の人が乗ってるのを怒ってはるんですか?」

むろん、そんなわけはない。
大阪市民以外の生活は"財政赤字"削減には無関係と切り捨てるつもりか。

「自治体のインフラは、近隣と相互に負担しつつ利用し合うのが原則。目先の数字だけで判断すれば、行政サービスの質は一気に低下します」(夕刊紙デスク)

自分だけよければ、どうでもいいのか。
チリが積もり山となっても、一瞬で吹き飛ばされてはかなわない。

6万票の無効票には、「税金を大切に使え」と書かれたものも多数あったという。
大阪市民の静かな怒りが今、うごめいている。

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