いよいよグランドフィナーレを迎えたフジテレビお昼の看板番組『森田一義アワー笑っていいとも!』。

3月31日の通常放送で32年の幕を下ろし、夜8時からの生特番には、明石家さんま、ダウンタウン、ウッチャンナンチャンら歴代のレギュラー陣も大集結する。

さらには、吉永小百合も出演、司会のタモリ(68)は、最後の最後で憧れの女優と『いいとも!』初共演の夢をかなえる。

「フジの制作サイドはタモリさんに、最高の花道を飾ってほしいと考えています。吉永さんとの共演という演出も、その一つなんです」(制作会社関係者)

めでたく"卒業式"を迎えたタモリだが、『いいとも!』がこれだけの長寿番組になったのは、ライバル番組があったからこそとも言える。

同じ時間に日本テレビ系で生放送されていた『午後は○○おもいッきりテレビ』(後に『思いッきりイイ!!テレビ』に番組名変更)は、『いいとも!』とともに"お昼の2強"と呼ばれた情報バラエティー番組。

ピーク時には平均視聴率10%を突破し、日によっては視聴率で『いいとも!』を抜いたこともある。

1987年10月から2007年9月まで続いたそのライバル番組で長く司会を務めたのが、みのもんた(69)だ。

彼は、ほぼ20年間にわたって、"日本の昼の顔"をタモリと争った戦友とも言える。

芸能リポーターの川内天子さんはこう言う。
「次男の逮捕で降板になりましたが、みのさんはついこの前まで『朝ズバッ!』(TBS系)で"朝の顔"でもありました。彼は、今でも、"毎朝3時半には目が覚める"と言います。番組を降板しても、早起きの習慣が身について離れないほど、生放送の仕事は大変なんです。二人には、互いに生番組の司会者として理解し合える部分があるのでしょう。みのさんは卒業したタモリさんに、"ご苦労さま……"と言ってあげたいんだと思います」

本誌は今回、そんなみのに話を聞くことができた。

"テレビ界の元帝王"が"お笑い界の伝説"に贈った"卒業メッセージ"とは――。
※※
「ひと言で言うと、残念だね。だって、『いいとも!』に視聴率で対抗しようと、各局、頑張ってきたんだからね。目標だったんだからね。だから、僕は本当、やめてほしくないと思ってるよ」

各局が『いいとも!』の牙城を崩そうと躍起になっているとき、みのは『おもいッきりテレビ』の2代目(初代は山本コウタロー)の司会者に抜擢(ばってき)されたという。

みのは視聴率争いを繰り広げた当時を振り返る。
「僕が起用されても、やっぱり歯が立たなかった。それで、どうしようかなって、いろいろ考えたよ」

そして生まれたのが、カメラの向こうの視聴者に「お嬢さん!」と語りかけるトークスタイルだ。『ちょっと聞いてョ!おもいッきり生電話』というコーナーで、みのは相手がかなりの高齢女性でも、フランクに「お嬢さん」と語りかけ、視聴者の心をつかんだ。

「これで、いい勝負ができるようになったんですよ。だから、視聴率で勝ったときなんかは、もう、ドンチャン騒ぎ。ヘド吐くまで飲んだもんだよ」

日本の昼の覇権を争ったライバルへ、みのは言葉を続ける。

「でもね、あの人(タモリ)は仕事を楽しんでいるんだよ。だから、視聴率争いがどうとか一切関係ない。僕はそう思うよ」

タモリは、どのように仕事を楽しんでいたというのか。

「別に、仕事が面白おかしくて楽しんでいるんじゃない。タモリは平気で、"別に俺はこの仕事やりたくないんだけどさぁ……俺がいないとつまんないの?あ、そう……じゃあ、いてやるからさぁ、お前がしゃべれよ"というスタンスなんだよね。だから、『いいとも!』でも、(曜日レギュラーやゲストら)周りがバンバンやってるじゃん。あれは、あの人じゃないとできない。"俺は別にどうだっていい"って、本当に思ってるんじゃないかな。あのやる気がなく見える感じは、天才的だよね。でも、あれは、やる気がないんじゃなくて、周りをやる気にさせているんだ。真似しようたってできない。まったく違った天才がたけしだけどね。タモリには、今後もあの雰囲気でずっと生き続けてほしいよね」

ある女を僕とタモリで争った

こう、ライバルへの賛辞を贈るみの。
しかし、彼はこの後、記者の想定外の発言をしてくれるのだった。

「実はね、タモリは本当にモテるんだぜ。これはね、ここだけの話だけど、昔、ある一人の女を、僕とタモリとで争ったことがあるんだよ」

――ええ!本当ですか?

「うん。でも、僕は敗れ去りました。収入の差でね(笑)」

――そのこと、言っちゃって大丈夫なんですか?

「ああ。もしクレーム来たら言ってよ、ハハハ。これ、まだ誰も知らないと思うよ」

――いつ頃のことなんですか?

「『おもいッきりテレビ』が始まった頃だなあ。いや~いい女だったなぁ」

――お相手の女性はどんな方だったんですか?

「詳しく女の素性を教えろだって?さすが週刊大衆、野暮なこと聞くねえ(笑)。でも、さすがにそれは俺も言えないよなあ」と満面の笑みを浮かべるみのに、肝心なところははぐらかされてしまった。

だが、みのとタモリが視聴率だけでなく、女も奪い合っていたとは、驚くべきことだ。

みのは再び、タモリとの"お昼の20年戦争"を、懐かしそうな表情を浮かべてこう振り返る。

「(当時『いいとも!』に対抗しようとした他局の)プロデューサーもいけないと思うんだけど、みんな、なんとかして『いいとも!』に勝とうと思ってたわけ。だけどね、そうじゃないんだよなあ。自分たちは自分たちで独自の番組を作ればいいんだよ。タモリはタモリの世界があるし、僕は僕。それでやってきたから、ずっと競合できた。『いいとも!』と『おもいッきりテレビ』の視聴者層が違ったから、共存ができたんだよね」

二人は同じ誕生日(8月22日)で、1歳違い。

昨年5月には、みのが『いいとも!』の「テレフォンショッキング」に出演。
ライバルの二人は軽妙なやりとりを繰り広げてみせた。

「でも、共演はほとんどないよね。今後はもっと共演してみたいね。僕らが共演するのって想像つかないでしょ?」と、今後への意気込みを語るみの。

最後に、タモリへの"ラストメッセージ"を贈ってくれた。

「そうですね……二人で、しみじみと汽車の旅でもしてみたいな。そのときの案内役は、高田純次で決まりだね(笑)」

※※ みのに続いて、"日本の昼の顔"を卒業したタモリ。

20年にも及んだ壮絶な戦いを終えた二人は、風光明媚(めいび)な景色の中、汽車に揺られながら、どんな話に花を咲かせるのだろうか。

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