2014年ペナントレースがいよいよ開幕。
初登板で勝ち星を挙げたり、初打席で初本塁打をぶっ放したり……今季プロ入りしたばかりの新人たちは、早くも大暴れしている。

野球解説者の金村義明氏は力強く、こう断言する。
「今年は新人選手の当たり年。両リーグともイキのいい選手がたくさんいます。彼らの活躍がペナントの行方を大きく左右するはず!」

そんな中で最も注目されているのが、昨年のドラフトで5球団から指名され、楽天に入団した松井裕樹投手(18=桐光学園)だ。

オープン戦4試合を投げ、防御率1・13。
この活躍で田中将大投手の抜けた穴を埋めるローテーションの柱として期待され、4月2日のオリックス戦で早くも公式戦デビューを果たした。

結果は6回を投げて5安打3失点。
6三振を奪ったものの、初登板で初黒星がついてしまった。

とはいえ、強打者・糸井嘉男外野手を外角低めの148キロのストレートで見逃し三振に斬って取るなど、随所に大器の片鱗を見せた。

「得意のスライダーに頼らず、強気でストレートで攻めた。ヘルマン、ペーニャの両外国人に打たれたものの、向かっていく姿勢は素晴らしいと思います」(スポーツ紙楽天担当記者)

高卒ルーキーの松井をキャンプ初日から一軍に置くことを決めたのは星野監督なのだが、それは、「目の届くところに置いて、殺到する取材攻勢から松井を守ろうとした」(前同)という考えがあったからだとか。

だが、松井は実力で一軍切符を勝ち取った。
それは、指揮官にとって嬉しい誤算だったことだろう。

嶋基宏捕手は松井のスライダーを大絶賛している。
「えげつないです。打者の足元に来たら消える感じになるんじゃないですか。高校生に打てるわけがない」

星野監督はキャンプ、オープン戦と着実に結果を残してきた松井の才能を高く評価しながら、一抹の不安を拭えないでいたという。
「投球が安定しないんです。いい時と悪い時の差があり、オープン戦では結果的に、"いい松井"ばかりが出ていた」(前出・楽天担当記者)

松井は、身長174センチと投手としては小柄で、「そっくり返るようなフォームになることがある」(前同)。
それが原因で球にバラツキが出てしまうというのだ。

しかし、全球団のキャンプをじっくり回ったという前出の金村氏によれば、その点もかなり改善されたと言う。
「佐藤義則コーチが、その欠点にはすぐに気づきましたから、今ではかなり修正され、ボールは安定してきました。技術的な問題は、ほぼなくなったとみていいでしょう。あとは、ローテをしっかり守って1年間投げきれれば、二ケタ勝利はできる」

スタミナを消耗する夏場を乗り切れば、初年度11勝のマー君超えも、決して不可能ではないだろう。

この松井と同じ4月2日に一軍デビューし、7回を5安打2失点に抑えてローテの柱になれることを証明したのが、広島のドラ1・大瀬良大地投手だ(22=九州共立大学)。

9回に抑えのミコライオが打たれ、勝ち星こそつかなかったが、実質的な勝利投手は間違いなく大瀬良だった。

大瀬良は長崎日大高校時代、甲子園に出場し、菊池雄星率いる花巻東に敗退したが、当時、この試合を見た野村克也氏は「菊池より、大瀬良に将来性を感じる」と評価。

昨年は大学生でありながら、"小久保ジャパン"のメンバーにも選ばれた逸材だ。

「上背もありコントロールもいい。間違いなくローテの中心に入る」(金村)

ドカベンを彷彿させるアジャ

同じく広島のドラフト2位で、大瀬良より先に初勝利を挙げたのが久里亜蓮投手(22=亜細亜大学)。

3月29日の中日戦で初先発、初勝利。
6回を投げて2併殺を含む内野ゴロが13。
フライ2、ライナー2。
三振は取れなかったが、四球は1つしか出さなかった。

「本格派の大瀬良とは違い、典型的な"打たせて取る"タイプ。しっかりと締めるところは締めて、勝利を積み重ねていってくれると思います。また、彼の存在が大瀬良にいい刺激になっていると思います」(金村氏)

今年の広島は、この2人が引っ張ることで、Aクラスどころか優勝争いに絡んでくる予感が漂っている。

一方、久里が「初先発、初勝利」なら、開幕戦で、史上初の「初打席、初球、初本塁打」というド派手なデビューを飾って一気に注目を浴びたのが、ヤクルトの西浦直亨内野手(22=法政大学)だ。

「法政時代から守備に定評がありましたが、初打席でホームランを打つとは(笑)。ヤクルトの島原スカウトは"宮本慎也になれる"と期待していましたよ」(スポーツ紙デスク)

10年後、西浦が主将としてチームを牽引している可能性は大いにある。

一方、オープン戦でガンガン打ちまくって、新人ながら「開幕4番」をゲット。

しかし、開幕以後は絶不調となりプロの厳しさを思い知らされた形なのが、ロッテの"アジャ"こと井上晴哉内野手(24=日本生命)だ。

守備や走塁には大いに難があるものの、体重114キロの巨漢が繰り出すパワー溢れる打力は、魅力でいっぱいなのだが……。

「開幕4番は、やはり新人には荷が重かったですね。いいものは持っているから、次のチャンスをしっかり活かして、自分の居場所を作ってほしいです」(金村氏)

井上は、かつてのドカベン香川のような愛嬌あるバッター。
最初の躓(つまず)きを糧に、より大きく飛躍してくれると期待したい。

今季のプロ野球は、スーパー新人たちの嵐を呼ぶような大活躍に要注目だ!

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