まだまだ盛り上がりを見せるアイドル・ブーム。今やほとんどすべての都道府県にご当地アイドルがいるんじゃないか? というぐらいに群雄割拠しているが、そんな中でも強烈な異彩を放っているのが、群馬県のご当地アイドル=リンダ3世である。

群馬といえば、大規模な工場が労働力を確保するために誘致してきたブラジル人が多い県として知られている。人口の15パーセントをブラジル人が占めるという大泉町のように、町がまるごとブラジリアン・タウン化している地域があったりと、ブラジル文化が地元の生活と密接している。そんな中から飛び出した〈ブラジリアン・ガールズ・ユニット〉が、リンダ3世なのだ。

メンバーは、抜群のスタイルと美しい歌声が魅力の“自称リーダー“太田市在住・ムツミ(13歳)、身長は小さいが鉄砲玉的な元気娘の伊勢崎市在住・ナオミ(13歳)、おっとりとした天然キャラの大泉町在住・サクラ(13歳)、スタイル抜群でダンスが大好きな太田市在住の双子姉妹、サユリとシオリ(15歳)の5人。

ブラジル系アメリカ人の父親を持つ黒木メイサを彷彿させるエキゾチックな美しさと、無邪気な子どもっぽさを併せ持つ日系ブラジル人美少女からなるリンダ3世は、2013年4月に「未来世紀 eZ zoo」でデビュー。サンバなどのブラジル音楽を取り入れたダンス・ミュージックと、つたない日本語と流暢なポルトガル語がごちゃ混ぜになった歌によって生まれるエキゾチックな魅力は、SNSで一気に拡散し、ミュージック・ビデオも公開1ヵ月間で10万回超の視聴回数を記録した。海の向こうのブラジルからも、たくさんの反響が寄せられたという。


「未来世紀eZ zoo」MV

しかし彼女たちの活動は、徹底的にローカル。群馬県内のヤマダ電機や大型ショッピングモールなどをくまなく回り、地元に密着した活動を展開。簡単には会いに行けないアイドルであることが、さらに全国的な注目を集めるきっかけとなっていった。


リンダ3世 @大泉ブラジリアンデー 2013

以降、日本最大級のアイドル・フェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」や大型ロックフェス「SUMMER SONIC」、ギャルたちの祭典「TOKYO GIRLS COLLECTION」などの大舞台にも抜擢されてきたリンダ3世が、4月2日ついにファースト・アルバム『VIVA! リンダ3世』を発表した。


リンダ3世 @TOKYO IDOL FESTIVAL 2013 HOT STAGE


アルバム『VIVA! リンダ3世』ティザー映像

人気お笑い芸人サバンナ八木による「ブラジルの人、聞こえますかー!」というおなじみのギャグで幕を開けるこのアルバムは、ももいろクローバーZの楽曲などで知られる人気作詞家の只野菜摘が手がけた詞によるオリジナル曲と、ブラジル音楽の定番「マシュケナダ」や、アース・ウィンド&ファイヤー「ブラジリアン・ライム」のなど、おじさん世代もニヤリとするカバー曲など全8曲を収録。ゴリゴリにトンがったカオティックなサウンドは、いわゆるアイドル曲の定番とはかけ離れているし、ほとんどの曲にはサンバ・パートも織り込まれていたりと、気持ちいいほどに常識を裏切られる楽曲が揃った。

そこには日本のアイドル・シーンに留まらずに、母国ブラジルへ、さらには広く海外へ活躍の場を広げようというリンダ3世の姿勢が垣間見える。実際に、彼女たちに憧れのアーティストを訊いてみても、ケイティ・ペリーやジャスティン・ビーバーといった、海外のトップ・アーティストの名前が挙ってきたりと、その野望はかなり本気。

2014年にはFIFAワールドカップ、2016年にはリオデジャネイロのオリンピックと、これからますますブラジルへの注目が高まる中、リンダ3世が日本とブラジルの架け橋として大きな活躍を果たすのは、決して夢物語ではないかもしれない。


1st.アルバム『VIVA!リンダ3世』(b-pop Inc.)

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