欲しいのにできない……不妊に悩む高齢女性たちが進まぬ法整備に業を煮やし、アメリカやタイなど 海外で卵子提供を受ける事例が増えている。

卵子提供は病気などで妻の卵子が使えない夫婦が、第三者から卵子の提供を受けて妊娠、出産を目指す方法。現在、国内では病気など医学的な理由で妊娠できない女性に限り一部の医療機関で実施されているが、高齢出産を希望する一般女性の不妊治療には否定的だ。昨年、自民党内部で一般の不妊治療として卵子提供認可を目指したプロジェクトチームが発足したが、倫理的な問題などで反論も多く、法整備までなかなかすすんでいないのが現状である。法整備を待っている間にも、肉体は老いていってしまう……。そんな焦燥感から、海外に卵子提供を求める女性が増えているのだ。

なぜ卵子提供の法整備がままならないのか? その原因を女性の不妊治療に詳しいライターの三浦ゆえさんに聞いてみた。

「日本は基本的に妊娠も出産も自然が一番という考え方が強いんです。そういう倫理観が卵子提供の法整備を阻んでいるんですね。少子化を克服するためにも、妊娠、出産にも多様性を認めるべきと思います」

厚労省が平成24年度に行なった調査では、卵子提供により国内で誕生した子どもは300人~400人。平成21年度の約3倍となっている。ただすべての人が妊娠、出産に成功するわけではないので、実際に提供を受けた女性の数はさらに多くなるだろう。また卵子提供の費用もアメリカでは約500万円、タイで約200万円とかなり高額。しかしそれでも子どもが欲しいという思いは強いのだ。

海外に比べ、20年は遅れているといわれる日本の卵子提供事情。今後の少子化傾向を少しでも止めるためにも、法整備は待ったなしの状況だと思うのだが……。

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